複合災害備え図上訓練 茨城・大洗町 地震と津波、原発事故

町内の被害状況など情報の収集に当たる、町災害対策本部指揮班の職員たち=大洗町磯浜町

茨城県大洗町は29日、町役場で、地震と津波、原発事故の複合災害を想定した図上訓練を初めて実施した。町職員約40人が約4時間にわたり、県や関係機関と連携した情報収集、原発事故の展開に応じて段階的に必要とされる対応、住民に対する広報作業など、災害対策本部の適切な運営を確認した。

訓練は、茨城県沖が震源のマグニチュード8.4の地震が発生し、同町に大津波警報が発令された上、日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村)で配管から冷却水が漏れ、原子炉の冷却機能を喪失したとの想定で実施した。原電や内閣府など関係機関の職員10人も参加した。

町は、指揮班や住民班など14班で構成する災害対策本部を設置。本部会議や関係機関とのテレビ会議で情報を共有し、状況を分析しながら対応した。内閣総理大臣役が「原子力緊急事態宣言」を出し、最終的に町民の一時移転が必要とされるような原発事故の状況を再現。災対本部は状況の進展を踏まえ、一時滞在者へ帰宅の呼びかけや町民へ屋内退避の指示などを行った。

町民の広域避難先の6市町のうち、千葉県銚子市の避難所3施設が被災した状況を想定。町民250人の新たな避難先の確保を県対策本部に求める連携作業も確認した。

国井豊町長は「災対本部の機能を確認するのが第一の目的。早期に広域避難計画案を策定し、町民の安心と安全の醸成に努める」と強調した。

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