金融庁、年末・年度末に向けた資金支援を金融機関に要請 ~ 中小企業支援、資金繰りから事業再生に移行 ~

11月27日、金融庁は「事業者支援の促進及び金融の円滑化に関する意見交換会」を開催した。鈴木俊一・財務大臣兼金融担当大臣、岩田和親・経済産業副大臣らが出席。金融機関等からは、加藤勝彦・全国銀行協会会長(みずほ銀行頭取)らが出席した。

資金繰りから事業再生支援の移行を要請

鈴木大臣は「コロナ禍からの社会経済活動の成長が進みつつある一方で、物価高騰や人手不足の影響により、事業者にとって厳しい状況が続いている。民間金融機関はコロナ禍での資金繰り支援の注力から、一歩先を見据えた事業者の実情に応じた経営改善・事業再生支援に取り組む段階へ移行していく必要がある」と述べた。また、11月2日に政府が決定したデフレ完全脱却のための総合経済対策を踏まえた支援と、年末・年度末に向けての資金需要への万全の対応を要請した。

事業再生ガイドラインは年度内改定へ

加藤・全銀協会長は「ゼロゼロ融資の返済が本格化するなか、コロナ借換保証制度や日本政策金融公庫と連携した資本性劣後ローンを活用して今後の支援に取り組む」と説明。
2022年4月公表の「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の金融機関への周知が進み、活動実績が積み上がってきたことを受け、今後早期の事業再構築を進めるために事業再生ガイドラインの年度内の改定に向け検討を進めているとし、さらに廃業時における「経営者保証に関するガイドライン」の基本的考え方も改定し、「早期の再チャレンジができるように進めていく」と支援強化を強調した。

中小企業への支援継続を表明

五島久・全国地方銀行協会会長(福岡銀行頭取)は、「地方銀行だけでなく、全国各地の信用保証協会や中小企業活性化協議会などと連携していく」と、事業再生と地域連携の重要性を説明した。
熊谷俊行・第二地方銀行協会会長(京葉銀行頭取)は、「経営や事業の改善支援を先延ばしすることなく実施することが必要」と強調。
御室健一郎・全国信用金庫協会会長(浜松いわた信用金庫会長)は、「中小企業が適切に価格転嫁できるような環境整備への引き続きの働きかけ」を要請した。
柳沢祥二・全国信用組合中央協会会長(大東京信用組合会長)は、「中小企業省力化投資補助事業などをはじめとする各制度の周知を行っていく」と中小・零細企業の事業再生や生産性向上への支援を示した。

鈴木俊一・金融担当大臣

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年11月30日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

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