青葉被告を前に「未来を奪われ絶対に許せない」 京アニ公判、遺族が意見陳述

京都地裁

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第19回公判が30日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。この日も遺族の意見陳述が続き、被告を前に「未来を奪われ、絶対に許せない」などと訴えた。

 笠間結花さん=当時(22)=の母親は、娘がアニメーターになる夢を追いかけていた当時を振り返り、「部屋に入ると、いつも絵を描いている背中を見ていた。京アニに就職が決まったときは抱き合って涙した」と語った。「母にとって分身を亡くすことは身を引き裂かれる思い。毎日会いたくて、会いたくて」とも述べ、声を詰まらせた。その上で「この場で怒りを直接伝えたかった。絶対に許せない」と訴えた。

 母親に続いて笠間さんの姉の書面が朗読され、「妹はたった一人の血を分けた理解者だった。怒りや悲しみを心の奥にしまい込んだまま時が流れている」と明かされた。

 また、長女を亡くした別の母親の書面を検察官が朗読し、「これからどんな作品に携われるかと思っていた。全く罪のない娘たちの未来を奪った。最も重い刑になるのは当然と思っている」と強調した。

 公判では遺族や被害者の希望に基づいて一部が匿名で審理されている。

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