クラス全員が乗り越えた不登校 「一人一人異なる『当たり前』を尊重したい」 沖縄の16歳、定時制体験発表で文科大臣賞

 第71回全国高校定時制通信制生徒生活体験発表大会(主催・全国高校定時制通信制教育振興会など)が19日、東京都内であり、泊高校午前部1年の金城琉夏さん(16)が最高賞の文部科学大臣賞に輝いた。金城さんは「今までで一番納得できる発表ができた。お世話になった先生たちに恩返しできてうれしい」と喜んだ。

 大会には各都道府県の代表60人が出場。金城さんは「当たり前の多様化」と題し、小学4年生で不登校になり苦しむも母親の言葉に励まされ高校に進学した決意や、高校の同級生と過ごす中で「互いの気持ちを理解し合い、リスペクトできる関係性」に勇気をもらったことを発表した。

 高校生活でクラス全員が学校に行けなかった時期があったことを知り、不登校の過去も人生経験の一つで「過去があるからこそ未来が輝く」と主張。世の中が押しつける「当たり前」ではなく、一人一人異なる「当たり前」を尊重することの大切さに気付いた経験も語った。

 大会に向けて、同校の下地貴子教諭と二人三脚で練習に励んできた。文章をより良くするために、つらい過去に向き合って話す時間も取ったという。小学5年生の時に始めたミュージカルで身に付けた表現力を生かし、表情や抑揚の付け方にもこだわった。

 金城さんは、高校で分かり合える友人たちができたからこそ書けた原稿だと強調。「当たり前の多様化が社会で実現できるようにしたい。つまずいた人に『あなたは一人じゃない』って伝えていきたい」と決意を語った。(社会部・普久原茜)

(資料写真)教室
文部科学大臣賞の賞状を手に受賞を喜ぶ金城琉夏さん=29日、那覇市・泊高校

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