「早期発見と対策を」 梅やモモ食害の外来カミキリ、和歌山県が研修会

クビアカツヤカミキリの成虫(和歌山県提供)

 梅やモモなどの木を食害する特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の被害状況や対策について知ってもらおうと、和歌山県はこのほど、みなべ町谷口の町生涯学習センターで研修会を開いた。今年になって御坊・日高でも被害が確認されており、県の担当者は「早期の発見と対策が重要」と強調。サクラの被害もあり、農家だけでなく一般の人にも知ってもらう必要性を訴えた。

 クビアカツヤカミキリの被害は、国内では2012年に愛知県で初めて確認された。和歌山県内では19年11月にかつらぎ町で初めて確認され、紀北で被害が拡大。その後、海南や有田地方を越えて御坊市で今年5月に確認され、日高川町や由良町でも見つかった。御坊・日高の10月末現在の被害は、その3市町の農地で16園44本、農地以外で6地点9本になっている。

 県による研修会は20年から始まり、毎年秋に県内2、3会場で開いている。今年のみなべ町での研修会には農家や市町、JAの担当者ら約70人が参加した。

 県うめ研究所の裏垣翔野研究員はクビアカツヤカミキリの特徴と被害状況を説明し、被害を見つけるポイントとして、3月下旬から11月にかけて園地を見回り、うどん状やミンチ状になったフラス(排せつ物と木くず)を探すことを示した。発見した場合、県振興局やJAなどに連絡し、拡大を防ぐ対策として成虫や幼虫を捕殺するほか、薬剤による駆除や伐採、樹木をネットで覆うなど早期に対策をするよう呼びかけた。

 那賀地方での対策について、県那賀振興局農業水産振興課の職員が紹介し、「農家に薬剤防除を徹底してもらっていることで拡大が抑えられている」と語った。チラシを全戸に配布するなど、啓発に力を入れていることも示した。

 県農業環境・鳥獣害対策室の職員も早期の発見と対策の重要性を挙げた上で、地域の農家や関係機関、団体が協力し、発生と地域の状況に適した対策をするよう呼びかけた。県や国の支援策についても説明した。

 同室生産環境班の三宅英伸班長は、御坊市でサクラの被害を見つけたのは一般の人だったことを挙げ「周知が大事。一般の人にも関心を持ってもらいたい」と訴えた。

 参加者から質問が相次いだ。薬剤防除に関する質問が多かったほか、被害を受ける可能性がある放棄園の木を伐採する際に支援を求める声があった。

クビアカツヤカミキリの被害状況や対策などの説明を聞く農家や行政担当者ら(16日、和歌山県みなべ町谷口で)

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