扇ケ浜に誘客施設 和歌山県田辺市が構想、現庁舎跡地は立体駐車場に

市庁舎や紀南文化会館と道路を挟んで海側にある扇ケ浜駐車場(和歌山県田辺市扇ケ浜で)

 庁舎移転に伴う現庁舎跡地の活用について、和歌山県田辺市は29日、道路を挟んで向かいにある扇ケ浜駐車場を誘客交流施設の事業用地とし、庁舎跡地に立体駐車場を整備する考えを示した。今後、民間事業者と対話を進め、事業化を図る。

 市議会「新庁舎整備及びまちづくり等特別委員会」の会合で、市が報告した。庁舎跡地の利用については、地域産品を扱う商業施設や宿泊施設、地域住民との交流の場など施設整備の方向性を示していたが、具体案の提示は初めて。

 市企画広報課によると、扇ケ浜駐車場は約1万1500平方メートルと一定規模の面積があり、立地的にも海岸の眺望を最大限に生かせる。施設整備で民間投資を呼び込める可能性が高く、周辺への大きな経済波及効果も期待できると判断した。

 現庁舎に隣接する紀南文化会館は大規模改修を予定している。施設の修繕に加え、バリアフリー対策が求められているという。庁舎跡地に立体駐車場を整備することで、会館のエントランスホールと水平移動を可能にし、車いす移動や雨天時のアクセスを向上させる狙いもある。

 課題もある。扇ケ浜駐車場を事業用地にするには、周辺の国有地を取得する必要がある。庁舎跡地への駐車場整備についても有利な補助金や起債による財源確保が難しい。官民連携の整備を検討しており、駐車場事業者への意向調査をしている。

 庁舎跡地は約4500平方メートルで、立体駐車場を整備しても、駐車可能台数は扇ケ浜駐車場(約400台)を下回る見込み。誘客交流施設で利用者がさらに増えることも想定し、周辺公共用地の活用も検討したいという。

 庁舎跡地の活用は、田辺湾岸エリアのまちづくりを考えるプロジェクト「田辺ONE(ワン)未来デザイン」の一部。市は庁舎周辺だけでなく、天神崎や文里湾、神島、鳥ノ巣半島の整備なども含むプロジェクトの具体的な構想を本年度中に策定する予定。

田辺市庁舎周辺地図

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