「中学生は妊娠しないと思った…」子どもの性の悩み聞く専門家が警鐘「性交したら妊娠することを教えるべき」 緊急避妊薬の試験販売で【長野】

処方箋が必要ない緊急避妊薬の試験販売が全国の薬局で始まりました。望まない妊娠を防ぐ手段の一つですが、性教育の充実を訴える専門家もいます。

松本市の薬局です。

■薬剤師 大塚修一さん「これが緊急避妊薬です」

性行為から72時間以内に服用すれば、8割程度妊娠を防げる緊急避妊薬。これまでは医師の診療と処方箋が必要でした。

■楠原由祐子アナウンサーQ緊急避妊薬が薬局で手に入る、身近になることについてはどう思う?

■薬剤師大塚修一さん「女性の権利を守るために事業を検証し一般販売に向けて進めればいい」

販売の体制などを整えるための試験的な販売は、28日から始まりました。購入できるのは16歳以上で価格は7000円~9000円。対象は全国145の薬局で、県内では松本市内3カ所に限られます。購入の手順はまず、薬局に電話で連絡をし、訪問。対応は研修を受けた薬剤師に限られプライバシーに配慮して個室などで説明を行います。
転売などを防ぐため薬は持ち帰ることができません。

■薬剤師大塚修一さん「研修を受けた薬剤師がチェックをし販売が可能かどうか確認し販売ができると判断したらここで薬を飲んでもらう」

薬局で買えることに街の声は…

■30代女性「クリニックに行きづらい子がいると思うので薬局で購入できるのは良い」

■20代男性「うちの妻は出産はあまり望んでいないので身近に購入できるのはうれしいのかもしれない。(金額については)手軽に買えるのはよくないと思う。ある程度の金額の方が責任などの所在もはっきりするので」

今回の試験販売は15歳以下は対象外で、16歳17歳については親の同伴が必要です。緊急避妊薬の薬局での販売は、臨まない妊娠を防ぐ一つの手段です。ただ、それだけでは不十分だと訴える声もあります。

「こんにちは~」

松本市で10年以上に渡って青少年の居場所「まちかど保健室」を開いている元養護教諭の後藤裕子さん。これまで子どもたちから数多くの性の悩みを聞いてきました。

■「まちかど保健室」後藤裕子さん「包括的な性教育を進めなきゃ駄目だよ」

後藤さんはここで独自に性に関する授業を行っています。学校の性教育だけでは不十分だと考えているからです。

■「まちかど保健室」後藤裕子さん「(学校の義務教育で)性交を教えてはいけない。当然避妊も指導要領に入ってきていない。性交をしたら妊娠をするさせる体になっているということを教えなくちゃいけない。大人の責任として」

入り口に置かれたノートには子どもたちの性に関する率直な気持ちがつづられています。正しく学ぶ機会がない子どもたちは、後藤さんにその思いをぶつけてきました。

■「まちかど保健室」後藤裕子さん「中学生で妊娠した子が『中学生は妊娠しないと思った』って言った。実際にありましたよ。そんな子どもたちにしてはいけないですよね」

子どもも大人も、正しく性を学ぶ機会が必要だと話しました。

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