●出荷量4割減
歳暮や正月の贈答用に人気が高い志賀町特産の干し柿「能登志賀ころ柿」の初競りが30日、金沢市中央卸売市場で行われ、12個入り1箱が過去最高だった昨年と同額の30万円で競り落とされた。夏場の猛暑や炭そ病の発生などで出荷量は例年の6割程度で、小ぶりが多いものの、品質は上々といい、関係者は幸先のよいスタートを喜んだ。
最高値が付いたころ柿は3Lサイズの中から、色つやが特に優れていた12個を詰めた特選で、競りの最後に登場した。
開始早々で30万円の値が付き、競り人や関係者からどよめきと拍手が起こった。フルーツ坂野(金沢市)が落札し、同市片町などでクラブを展開するグループに納品される。坂野浩章社長(44)は「品質が素晴らしく、競り落とせてほっとしている」と笑顔を見せた。
JA志賀によると、今年は夏場の猛暑や炭そ病の発生により原料となる最勝柿の生育が不順となった影響で、出荷量は例年より4割程度少ない2万6千箱の出荷を見込む。
初競りでは昨年より100箱少ない約1300箱が競りにかけられ、200円ほど高い3200~3800円で取引された。4Lサイズの最高級規格「プレミアム」は出品されなかった。
JA志賀の新谷克己代表理事組合長(67)は「良い値を付けてもらってありがたい。品質は例年と変わらず、多くの人に味わってもらいたい」と話した。
丁寧な手もみによって作られる能登志賀ころ柿は鮮やかなあめ色と果肉の緻密さ、素朴な甘みが特長。国の地理的表示保護制度(GI)に登録され、石川県産ブランド農林水産物「百万石の極み」に認定されている。海外でも人気で、昨年は台湾やシンガポールなどに約7トンを輸出した。