生活保護訴訟、国に初の賠償命令 名古屋高裁、減額取り消しも

名古屋高裁の控訴審判決を受け、「完全勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告側弁護士ら=30日午後、名古屋市

 生活保護費の基準額引き下げは憲法が保障する生存権を侵害し生活保護法に違反するとして、受給者13人が居住自治体による減額処分の取り消しと国への慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(長谷川恭弘裁判長)は30日、減額処分を取り消し、国に賠償を命じた。原告弁護団によると、同種訴訟で賠償を命じたのは初めて。

 一連の訴訟で高裁判決は、原告側の逆転敗訴となった今年4月の大阪高裁に続き2件目。同種訴訟は29都道府県で起こされ、一審判決22件中12件で減額処分を取り消している。

 厚生労働省は2013~15年に物価が下落したとして基準額を平均6.5%引き下げ、計670億円を削減した。

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