インフル急増、栃木県が5年ぶり警報 週別平均30人超え 咽頭結膜熱も警報

県内のインフルエンザ患者報告数の推移

 栃木県は30日、県内全域でインフルエンザの患者数が増加したとして、5年ぶりに「警報」を発令した。今季はコロナ禍前と比較しても流行入りが早く、11月中の警報は2009年以来14年ぶりとなる。子どもを中心に全国的に流行が続く咽頭結膜熱(プール熱)の患者も増え、警報を出した。県は感染がさらに広がる可能性もあるとして、手洗いや症状がある場合のマスク着用など対策の徹底を呼びかけている。

 県感染症対策課によると、県内76カ所の医療機関から報告された11月20~26日の1週間のインフル患者数は2324人。平均患者数は30.58人で、警報レベルの30人を超えた。地区別では県北が42.93人で最も多く、安足が34.91人、宇都宮市が30.72人と3地区で警報レベルを上回った。県南が25.59人、県東が23.50人、県西は20.38人で、注意報レベルの10人を超えている。

 例年流行が始まるのは12月ごろだが、今季は早まり、県全体では10月23~29日に14.66人と注意報レベルを上回っていた。

 また、咽頭結膜熱は夏に子どもの感染が増えるが、今季は全国的に季節外れの流行となっている。

 11月20~26日の患者報告数は136人で、48の定点医療機関当たりでは2.83人。地区別では県南が5.18人で最も多く、宇都宮市が4.82人で続く。複数地区で警報基準の3人を超えるのは初めてで、今後も増加が見込まれるため警報を出した。

 一方、20~26日の新型コロナウイルス患者報告数は前週比2人減の175人で、5類移行後の最少を更新した。

 県医師会の稲野秀孝(いなのひでたか)会長はインフルなどの流行について「コロナ禍で感染対策が徹底され、病気への免疫が低下したことが要因の可能性もある」と指摘。年末年始は人との接触機会も増えるため新型コロナへの警戒も必要として「インフルやコロナのワクチン接種を前向きに考えてほしい」と話した。

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