東北新幹線はやぶさはどの駅に停車する?グランクラスってどんな座席?他の列車との違いは?あなたの疑問に鉄道ジャーナリストが答えます

新幹線の疑問に鉄道ジャーナリストがお答えします

「新幹線に乗ろうと思って時刻を調べたはいいけれど、どの列車のどの席を選べばいいか分からない」と迷ってしまうことはありませんか?

全国の新幹線を、車窓を中心に10年以上観察・研究してきた鉄道ジャーナリストの栗原景さんが、知っていると便利なことや、誰かに話したくなる新幹線ならではの車窓の楽しみ方などをご紹介します。

この記事を読むと分かること

  • 使用されている車両、特徴、コンセントの位置
  • 「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」「はやて」の違い
  • それぞれの列車の停車駅
  • 座席選びのポイント
  • 車窓の楽しみ方
  • おトクに乗車する方法、予約について
  • 車内販売の有無、最高速度などの基本情報

東北新幹線ってどんな路線?

東北地方の主要都市を結ぶ東北新幹線は東日本の大動脈。かつては、在来線特急が8時間以上かけて結んでいた東京駅〜新青森駅間を、最高速度320km/h、最速3時間足らずで結んでいます。

列車を最大限効率良く運行するため、北海道新幹線や山形・秋田新幹線などと連携し、複数の行先の列車を併結して運行されていることも特徴で、福島駅や盛岡駅では今では貴重となった列車の分割・併合作業が見られます。

グリーン車を超えるグレードのグランクラスを連結した列車があるかと思えば、北関東の通勤路線としても機能する、多彩な東北新幹線の魅力を紹介しましょう。

東北新幹線の車両

東北新幹線では、実質4種類の車両が使われています。同じ東京駅を起点とする新幹線でも、東海道新幹線が運行効率を重視し、すべての車両の座席配置を統一しているのに対し、東北新幹線の車両はそれぞれの用途と運行区間に合わせた設計となっています。デザインも形式ごとに個性が光っています。

E5系/H5系

ハイテク満載、世界最高峰の乗り心地とスピードを実現


国内最速となる320km/hを実現した初めての新幹線車両です。2011(平成23)年3月5日の運行開始時には最高速度300km/hで東京駅〜新青森駅間を最速3時間10分で結び、2013(平成25)年3月16日からは320km/h運転を開始。デビュー10周年となった2021(令和3)年3月改正では、最速2時間58分にまで短縮しています。

E5系は、320km/h運転を実現するために、さまざまな技術を採用しています。15mに及ぶロングノーズの先頭形状は、トンネル突入時などの騒音を抑えるために開発されたもの。

遮音板に囲まれたパンタグラフ、床下の台車まで完全に覆うボディマウント構造、吸音材パネル、車両間の凸凹をなくす全周ホロなど、高速で走行する車両に空気が当たって発生する騒音を、極限まで減らしています。

車体の揺れを強制的に打ち消すフルアクティブサスペンションや、カーブを快適に・高速で通過する車体傾斜装置も装備し、乗り心地が飛躍的に向上していることも特徴です。

1編成は10両で、10号車(新青森方先頭車)がグランクラス、9号車がグリーン車、8〜1号車が普通車です。


E5系グランクラス

新幹線で最高グレードとなるグランクラスは、3列の本革シートを採用しています。身体を包み込むようなシートでプライバシーを保て、背もたれ、座面、レッグレスト、フットレストがそれぞれ動く電動リクライニングシート。どの角度に設定しても身体に負担がかからずゆったりと過ごせます。

主要な「はやぶさ」では、アテンダントによる車内サービスを行なっているのもグランクラスの楽しみ。沿線の食材を使った軽食膳が用意され、ドリンクはアルコールを含めて飲み放題です。


E5系 グリーン車

E5系普通車

グリーン車や普通車のグレードも高く、特に普通車は座席間隔がE2系の980mmから1040mmに拡大。可動式枕や折り畳み式ドリンクホルダーも装備するなど、ひと昔前のグリーン車に迫る快適性を備えています。

E5系の一部編成とH5系は全席にコンセントを備えていますが、普通車は窓側と最前列・最後列のみという車両の方が多いです。

JR北海道が所有するH5系は一部デザインが異なりますが、設備はE5系と同じです。

  • ※新型コロナウイルス感染拡大防止のため車内サービスを休止していましたが、7/1からグランクラスのみ再開しています

E6系

「こまち」用ながら、一部「やまびこ」などにも


秋田新幹線「こまち」用の車両です。東北新幹線内ではE5系と併結して運行しますが、盛岡駅〜秋田駅間で在来線に乗り入れることから、車体サイズが一回り小さくなっています。車両のデザインは、イタリアのフェラーリや、クルーズ列車の「TRAIN SUITE 四季島」などのデザインも担当したことで知られる工業デザイナーの奥山清行氏が担当。

「こまち」としての運用のほか、E5系と併結した状態で「やまびこ」「なすの」、そして東京駅〜盛岡駅間の「はやぶさ」にも使われています。「やまびこ」「なすの」のE6系自由席は、E5系よりも空いていることが多いので、ねらい目です。

E2系

長年活躍してきたJR東日本の標準車両


1997(平成9)年3月の、秋田新幹線開業と同時にデビューした車両です。北陸新幹線長野以遠を除く、JR東日本のすべてのフル規格新幹線で長年標準車両として活躍してきました。今は北陸新幹線からは引退し、2002(平成14)年以降に製造された、E3系との併結運転に対応した1000番代が「やまびこ」「なすの」用として使用されています。

先頭車両とグリーン車に、高速鉄道用車両としては世界初となるフルアクティブサスペンションを採用し、そのほかの車両にも揺れを吸収するセミアクティブサスペンションを装備。乗り心地を劇的に改善し、その技術はE5系や北陸・上越新幹線向けE7系にも活かされています。

コンセントは原則としてありません。一部、普通車窓側席と最前列・最後列などにコンセントがある車両もありますが少数派です。コンセントがあるかどうかを事前に知ることは難しく、運次第です。


E2系普通車

E3系

改良を重ねたミニ新幹線


E3系2000番代

1997(平成9)年に開業した秋田新幹線「こまち」用として登場した車両です。現在は乗り心地や車内設備を改良した2000番代が山形新幹線「つばさ」用として活躍しており、一部「やまびこ」「なすの」にも使用されています。

「こまち」用の0番代は秋田新幹線からの引退後も2編成が残存し、東北新幹線「やまびこ」用として使われてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う乗客の減少に合わせ、現在は定期列車から退いています。

「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」「はやて」の違いは?

JR東日本の新幹線は、運行区間と最高速度及び自由席の有無によって愛称が分かれています。

はやぶさ

国内最速のスーパートレイン


「320km/h運転を行なう東北・北海道新幹線発着で全席指定の列車」が、「はやぶさ」です。すべての列車がE5/H5系を使用。宇都宮駅〜盛岡駅間で320km/h運転を行ない、グランクラスも連結しているなど、フラッグシップトレインと呼ぶに相応しい列車です。停車駅も絞られ、全列車が大宮駅〜仙台駅間をノンストップで運行。上野駅を通過する最速列車は、東京駅〜新青森駅間を、3時間を切る2時間58分で運行しています。盛岡駅〜新青森駅間は全列車が「はやぶさ」のため、全車指定席で自由席の設定はありません。ただし、一部の区間では、座席を指定しない特定特急券が発売されています。

愛称の「はやぶさ」は、一般公募によって決まったもので、1958(昭和33)年から2009(平成21)年まで東京駅〜熊本駅・西鹿児島駅(現・鹿児島中央駅)間で運行されていたブルートレインの愛称が復活する形となりました。

【使用車両】
E5系、H5系

【はやぶさの停車駅】
東京駅・上野駅(一部列車)・大宮駅・仙台駅・古川駅(一部列車)・くりこま高原駅(一部列車)・一ノ関駅(一部列車)・水沢江刺駅(一部列車)・北上駅(一部列車)・新花巻駅(一部列車)・盛岡駅・いわて沼宮内駅(一部列車)・二戸駅(一部列車)・八戸駅(一部列車)・七戸十和田駅(一部列車)・新青森駅

【座席の種類】
普通車(指定席のみ)/グリーン車(指定席のみ)/グランクラス(指定席のみ)

【コンセントの有無】
グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列(H5系とE5系の一部編成は全席)

【車内販売】
あり(※グランクラスのサービス詳細はこちら

やまびこ

あらゆる用途をこなすマルチな列車


東京駅〜仙台駅・盛岡駅間で運行されている自由席もある列車です。東京駅〜仙台駅間は停車駅のパターンがとても多く、大宮駅と福島駅のみ停車する列車もあれば、すべての駅に停車する列車もあります。一方、仙台駅〜盛岡駅間は原則としてすべての列車が停車。通勤・通学輸送からビジネス、観光、帰省まで、あらゆる用途に活躍するマルチプレイヤーです。E5系・E6系を使用する列車もありますが、最高速度は原則として275km/hに抑えられています。

「やまびこ」は、1965(昭和40)年から東北新幹線が開業した1982(昭和57)年まで、上野駅〜盛岡駅間で運行されていた特急列車の愛称です。東北新幹線開業後は、「ひかり」タイプの愛称として引き継がれ、長年東北新幹線のエースとして活躍しましたが、2002(平成14)年の八戸駅延伸で「はやて」が登場してからは、多くの駅に停車する列車に性格を変えました。車両は主にE2系とE5系が使われています。E5系にはグランクラスもありますが、アテンダントによる車内サービスはありません。

【使用車両】
E5系、E6系、E2系

【やまびこの停車駅】
東京駅・上野駅(一部列車)・大宮駅・小山駅(一部列車)・宇都宮駅(一部列車)・那須塩原駅(一部列車)・新白河駅(一部列車)・郡山駅(一部列車)・福島駅・白石蔵王駅(一部列車)・仙台駅・古川駅・くりこま高原駅・一ノ関駅・水沢江刺駅・北上駅・新花巻駅・盛岡駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席のみ)/グランクラス(指定席のみ)

【コンセントの有無】
E5系、E6系:グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列(E5系の一部編成は全席)
E2系:なし(一部編成:グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列)

【車内販売】
なし

なすの

あらゆる車両を活用する通勤新幹線

東京駅〜那須塩原駅・郡山駅間で運行されている、近距離・各駅停車タイプの列車です。通勤・通学客やビジネスマンの利用が多く、下りは夕方から夜にかけて、上りは午前中に多く運行されています。

「はやぶさ」や「つばさ」など、主に他の列車に使われる車両が、時間の合間を使って「なすの」として運行されることが多く、そのためE2系、E3系、E5系、E6系と、東北新幹線で走っているすべての車両形式が使用されています。そのため、“グランクラス連結の小山駅発東京駅行き「なすの」”なんてレアな列車もありますよ。最高速度は275km/hです。

「なすの」の愛称は、1959(昭和34)年以来、上野駅〜黒磯駅間の優等列車(準急→急行→特急)に使われてきました。1995(平成7)年、それまで東北新幹線の各駅停車タイプとして運行されてきた「あおば」のうち、東京駅〜那須塩原駅間の近距離タイプを分離する形で「なすの」の愛称が与えられ、現在に至っています。

【使用車両】
E5系、E6系、E2系、E3系

【なすのの停車駅】
東京駅・上野駅・大宮駅・小山駅・宇都宮駅・那須塩原駅・新白河駅・郡山駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席のみ)/グランクラス(指定席のみ)

【コンセントの有無】
E5系、E6系:グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列(E5系の一部編成は全席)
E2系:なし(一部編成:グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列)
E3系:なし

【車内販売】
なし

はやて

幻の列車となった、かつてのフラッグシップトレイン


盛岡駅~八戸駅間開業時(2002年)の出発式の様子

列車種別としては存在しているものの、現在の東北新幹線では1本も運行されていない幻の列車。それが「はやて」です。

「はやて」は、「最高速度が275km/h以下で、全席指定の列車」。東北新幹線盛岡駅〜八戸駅間の開業と同時に登場し、E5系「はやぶさ」が登場するまで、東北新幹線最速の列車でした。しかし、320km/h運転が可能なE5系が登場すると、全車指定席の定期列車はE5系「はやぶさ」に統一。東北新幹線の「はやて」は、多客期にE2系やE3系で運行される臨時列車のみとなり、それも、2021(令和3)年3月のダイヤ改正で消滅しました。

北海道新幹線新青森駅〜新函館北斗駅間の列車が、同区間の最高速度が260km/hであるため「はやて」を名乗っているほか、東北新幹線でも臨時列車として運行される可能性はあるので、時刻表などの案内には今も掲載されています。

停車駅一覧

はやぶさ やまびこ なすの
東京 ○ ○ ○
上野 ▲ ▲ ○
大宮 ○ ○ ○
小山 - ▲ ○
宇都宮 - ▲ ○
那須塩原 - ▲ ○
新白河 - ▲ ○
郡山 ー ▲ ○
福島 ー ○
白石蔵王 ー ▲
仙台 ○ ○
古川 ▲ ○
くりこま高原 ▲ ○*
一ノ関 ▲ ○
水沢江刺 ▲ ○*
北上 ▲ ○
新花巻 ▲ ○*
盛岡 ○ ○
いわて沼宮内 ▲
二戸 ▲
八戸 ▲
七戸十和田 ▲
新青森 ○
所要時間(最速) 2時間58分 (東京〜新青森) 3時間11分 (東京〜盛岡) 1時間31分 (東京〜郡山)
*:一部通過する臨時列車あり
○:停車 ▲:一部停車 -:通過

  • ※一部運行区間が異なる列車があります

東北新幹線の見どころ

区間によって最高速度が異なる

日本最速のスピードを誇る東北新幹線ですが、最高速度は区間によって異なります。東京駅〜上野駅間110km/h、上野駅〜大宮駅間は130km/hで、大宮駅までは新幹線は本気を出しません。これは、在来線と並走して建設され急カーブが多いためでもありますが、上野駅〜大宮駅間については、騒音防止のため、沿線とのとりきめによって最高速度が抑えられています。

大宮駅〜宇都宮駅間は275km/h、そして宇都宮駅〜盛岡駅間で、E5・E6・H5系「はやぶさ」「こまち」に限り国内最速の320km/h運転を行なっています。

盛岡駅〜新青森駅間は260km/h。これは、同区間が全国新幹線鉄道整備法という法律に基づいて建設された区間で、建設費や維持費、防音設備などのコストと速達性のバランスが取れる速度として、最高速度260km/hと設定されたものです。JR東日本は将来この区間でも320km/h運転を行なうため、防音設備強化などの工事を開始しています。

おすすめの列車は?

東北新幹線のスピードを実感するなら、東京駅〜新青森駅間2時間58分運転を行なう「はやぶさ7・13号」。中でも、東京駅を朝8時台に発車し、E席側の山が順光でよく見える「はやぶさ7号」がおすすめです。

のんびりと景色を楽しむなら、停車駅が多い東京駅〜仙台駅・盛岡駅間の「やまびこ」はいかがですか。車内販売はありませんが、列車によっては福島駅で4〜9分停車するので、コンコースで駅弁を購入できます。

東北新幹線の座席選びのポイント

車窓風景はE席側がおすすめ

まっすぐ北へ向かう東北新幹線は、普通車の場合新青森駅に向かって右側が3列席のA〜C席、左側が2列席のD・E席です。朝はA席側に日差しが入るため、多くの人がブラインドを下げています。午後から夕方にかけては、E席側に西日が入ります。ですから、午前の列車はE席、午後の列車はA席を選ぶのが基本ですが、どちらかと言えばE席側のほうがおすすめです。

東北新幹線は、大宮駅以北のほぼ全区間で、東日本地域の背骨とも言える奥羽山脈の東側を通っています。そして、関東平野や仙台平野、北上盆地などを高架線で貫いているため、E席側からは安達太良山や岩手山など、絶えず美しい山並みを見晴らせるのです。A席側からも筑波山や早池峰山などが見えますが、全体としてはE席側がよいでしょう。

とにかく「山」がよく見える。東北新幹線の車窓

東京新幹線車両センター

上り列車限定、JR東日本の新幹線が勢揃い


旧田端操車場(貨物駅)の跡地に建設された、JR東日本の新幹線車両基地です。東京駅を発着するすべての新幹線車両が、一時的に留置されたり、日常的な検査を受けたりする場所です。

運が良ければ、A席側からE5系、E7系などさまざまな新幹線車両がずらりと並ぶ様子が見えます。その向こうには、在来線の尾久車両センターがあり、寝台列車の「カシオペア」や、クルーズ列車の「TRAIN SUITE 四季島」が見えることも。ただし、防音壁などがあるため下り列車からはほとんど見えず、上り列車限定の車窓です。

東北新幹線の車両基地は仙台にもありますが、本線から少し離れるため、間近に見られるのはここだけです。

日本百名山

東北新幹線最大の魅力は「山」

東北新幹線は、とにかく山がよく見える路線です。


富士山

日光連山

高原山


吾妻連峰

安達太良山

岩手山

特にE席側からは、東京方から富士山(大宮駅~小山駅)、日光男体山(小山駅〜那須塩原駅)、那須岳(那須塩原駅〜新白河駅)、吾妻山(新白河駅〜郡山駅)、磐梯山(郡山駅付近)、安達太良山(郡山駅〜福島駅)、蔵王山(白石蔵王駅付近)、岩手山(盛岡駅付近)と、日本百名山の名だたる山がよく見え、冬の晴れた日なら秩父山系の両神山や、山梨県の八ヶ岳まで見えます。A席側からも早池峰山(新花巻駅付近)、八甲田山(新青森駅付近)などが見え、日本百名山のうち奥羽山脈の東側にある山はすべて見るチャンスがあると言えます。

中でも美しいのは、冬の夕暮れ時に小山駅〜大宮駅間の上り列車から見る富士山(E席)、春や秋の午前中に見る日光連山と安達太良山(いずれもE席)など。八甲田山はE席側からも見るチャンスがありますが、トンネルの合間の一瞬なので、新青森駅到着時のA席側のほうがよく見えます。

鷲宮信号場

作りかけの新幹線? どこかへ消える架線のない高架線


大宮駅を発車して5分あまり北上すると、新幹線から左へ分岐しS字カーブを描いてどこかへ消えていく高架線があります。かなり立派な高架線ですが、よく見ると架線がありません。

これは、東北本線東鷲宮駅に隣接する保守車両基地に向かう分岐線。線路などの施設を保守点検するための車両が出入りするところで、分岐点は鷲宮信号場と呼ばれています。保守車両基地への分岐は各地にありますが、線路沿いにあるケースがほとんどで、ここのように非電化の高架線が見えないところまで延びているのは珍しいケースです。

最長直線区間

日本最長、25.7kmのストレート


国土地理院「地理院地図」より

白石蔵王駅〜仙台駅間には、25.7kmもの直線区間があります。

日本の鉄道の最長直線区間は北海道室蘭本線の白老駅〜沼ノ端駅間(28.7km)とされていますが、実際には途中の駅に細かい曲線があるため、純粋に線路がまっすぐという意味ではこちらが最長です。下り列車で白石蔵王駅を出て2つめの第二白石トンネル内から名取市街まで約5分間のストレート。小さな丘陵地もすべてトンネルと切り通しで一直線に走ります。

大年寺山のテレビ塔

仙台市街を見守る3本の塔


下り列車が仙台駅に到着する直前、E席側の小高い山に3本の鉄塔が見えます。いずれもテレビ電波塔で、向かって左から、仙台放送の「仙台スカイキャンドル」(148m)、NHK仙台放送局・東北放送・東日本放送の共同テレビ塔(150m)、宮城テレビ放送「ミヤテレタワー」(138m)。このうち仙台スカイキャンドルとミヤテレタワーは、夜になると西隣の八木山にある旧東北放送テレビ塔とともにライトアップされ、仙台のランドマークになっています。

おトクなきっぷ

週末パス

福島往復でおトクに? 貴重なフリーきっぷ

おおむね山形県・宮城県よりも南のJR東日本全線と、14の私鉄・第3セクター鉄道に土・休日の2日間普通列車乗り放題となる、今では貴重なフリーきっぷです。

特急券やグリーン券を購入すれば新幹線を含む特急列車に乗車可能(JR東日本管内に限ります)。おとな8880円、こども2600円と非常に安く、東京駅〜福島駅間(運賃4840円)を往復するだけでおトクになります。

新幹線は、東北新幹線東京駅〜くりこま高原駅間、山形新幹線全線、上越新幹線全線、北陸新幹線東京駅(高崎駅)〜上越妙高駅間に乗車できます(特急券は別途購入)。購入は利用開始日の前日(通常は金曜)までで、フリーエリア内のおもな駅やびゅうプラザ、エリア周辺の旅行会社で販売しています。

おとな 8880円、こども2600円

フリーエリア:羽越本線酒田、奥羽本線湯沢、東北新幹線くりこま高原、東北本線小牛田の各駅より南のJR東日本全線/山形鉄道/阿武隈急行/福島交通/会津鉄道/北越急行/えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン/上田電鉄/しなの鉄道/長野電鉄/アルピコ交通/ひたちなか海浜鉄道/鹿島臨海鉄道/富士急行/伊豆急行



お先にトクだ値スペシャル(乗車券つき)やまびこグランクラス

JR東日本のネット予約サービス「えきねっと」では、さまざまな事前購入割引を設定しています。

2021年7月現在のおすすめは、「お先にトクだ値スペシャル(乗車券つき)やまびこグランクラス」。乗車日の20日前までに予約することで50%割引となるサービスで、東京駅〜盛岡駅間の「やまびこ」グランクラスを、なんと総額1万550円で利用できます。

「やまびこ」の所要時間は3時間20分前後。アテンダントによる車内サービスはありませんが、事前に美味しいものを購入して、密にならない贅沢な新幹線旅を楽しめます。

編集部追記)「お先にトクだ値スペシャル(乗車券つき)やまびこグランクラス」は2023年3月で販売を終了しました

なお、「お先にトクだ値」は、ネット予約限定の、スマホや交通系ICカードを使ったチケットレス乗車サービスです。乗り遅れた場合など、制限もあるので、事前にウェブサイトをよく確認してください。



【東北新幹線】基本データ

営業区間:東京駅〜新青森駅

営業キロ:713.7km
実キロ:674.9km
※新幹線は、在来線の線路増設として建設されたため、運賃計算の元となる営業キロと、実際の距離(実キロ)が異なります

使用車両:E5系、H5系、E6系、E2系、E3系

最高速度:
東京駅~上野駅 110km/h
上野駅~大宮駅 130km/h
大宮駅~宇都宮駅 275km/h
宇都宮駅~盛岡駅 320km/h
盛岡駅~新青森駅 260km/h

最速列車の表定速度(停車時間を含めた平均速度):
はやぶさ6号(盛岡駅→東京駅)229.2km/h
はやぶさ7・13号(東京駅→新青森駅)227.5km/h

座席の種類:普通車自由席、普通車指定席、グリーン車、グランクラス

車内サービス
東北新幹線の車内販売は非常に限定的です。車内販売を行なっているのは「はやぶさ」のみで、取扱品目もホットコーヒー、ソフトドリンク類、アルコール類、菓子類、つまみ類に限られます。車内で食事をする人は、乗車前に駅弁などを購入する必要があるので注意してください。

車内販売
はやぶさ ○
やまびこ ×
なすの ×
※東北新幹線を運行する列車には自動販売機はありません

トイレ:奇数号車新青森寄り

E5系・H5系 E6系 E2系 E3系
車いす対応トイレ 5・9号車 12号車 9号車 11号車
女性専用トイレ 1・3・7号車 なし 奇数号車 なし
車いすスペース 5・9号車 12号車 9・10 11・12号車
多目的室 5号車 12号車 9号車 11号車
※多目的室は身体の不自由な人や気分の悪くなった人、授乳が必要な人などが車掌に申し出ると利用できます。


著者紹介

栗原 景(くりはら かげり)

1971年、東京生まれ。鉄道と旅、韓国を主なテーマとするジャーナリスト。出版社勤務を経て2001年からフリー。小学3年生の頃から各地の鉄道を1人で乗り歩き、国鉄時代を直接知る最後の世代。東海道新幹線の車窓を中心に、新幹線の観察と研究を10年以上続けている。主な著書に「廃線跡巡りのすすめ」、「アニメと鉄道ビジネス」(ともに交通新聞社新書)、「東北新幹線沿線の不思議と謎」(実業之日本社)、「東海道新幹線の車窓は、こんなに面白い!」(東洋経済新報社)ほか。

  • ※写真/栗原景、交通新聞クリエイト
  • ※掲載されているデータは2021年7月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。

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