藤井聡太八冠に「県民栄誉賞」 浅田真央さん、星野仙一さん、吉田沙保里さんに続き4人目 受賞日にちなんだ1130円の記念メニューもスマイル考案

史上初の「八冠達成」を成し遂げた将棋の藤井聡太八冠に「愛知県県民栄誉賞」が贈られました。

愛知県瀬戸市出身の藤井聡太八冠は10月、永瀬拓矢九段から王座のタイトルを奪取し、前人未到の八冠を達成しました。

(愛知県 大村秀章知事)
「謹んで県民栄誉賞を贈らせていただきます」

大村知事は藤井八冠に「愛知県県民栄誉賞」を贈りました。

この賞は県民に明るい夢と希望と活力を与えることに顕著な業績があり、愛知県の名を高めた人に贈られるもので、元フィギュアスケート選手の浅田真央さん、元中日ドラゴンズ監督の星野仙一さん、元レスリング選手の吉田沙保里さんに続き藤井八冠は4人目です。

そして表彰式では、さらに…。

(愛知県 大村秀章知事)
「いろいろ書をしっかり書いていただければ」

今後、色紙などに文字を書く機会がさらに増えるだろうということで「あいちの伝統的工芸品」の硯(すずり)箱と「あいち郷土伝統工芸品」の硯が記念品として贈られました。

この記念品には深いワケが…。

藤井八冠が六段だった2018年、公式戦でデビューから29連勝、最年少で棋戦優勝を果たし昇段するなど、プロ棋士になってからの実績が称えられ愛知県から特別表彰を受けていました。

その時の記念品が「豊橋筆」だったのです。

(藤井聡太八冠)
「本当に良いものをいただいたので、良いものを使うと少しでも自分(の字)がうまくなった気になれそう」

その言葉通り、将棋の強さに比例するように筆使いもどんどん上達していく藤井八冠。

今回の硯などと合わせて使ってもらいたいという思いが込められているんです。

(藤井聡太八冠)
「今回の賞を本当に光栄に思っている。硯をいただき、以前に筆もいただいていましたので、セットで書の練習をしていきたい」

藤井八冠は、お礼に直筆の色紙を贈りましたが…。

(藤井聡太八冠)
「今回は詰め将棋ではありませんので、ご安心ください」

実は2016年、まだ中学生だった藤井聡太八冠は、このとき知事に色紙をプレゼント。

そこには自ら考えた「詰め将棋」を書いていました。

(愛知県 大村秀章知事)
「その時、藤井さんに『どのくらい難しいですか?』と聞いたら『有段者で30分くらいかかります』と言われたが。県庁(職員)の有段者に解かせてみたら80分くらいだった」

さて、今回の色紙には「大志」の文字、込められた思いは。

(藤井聡太八冠)
「『大志』は四段に昇段した時に作っていただいた扇子にも書いた。当時(四段昇段時)と変わったことも多いんですけど、当時の気持ちを思い出してやっていこうということ」

記者から、この1年を漢字で表すと、どんな言葉になるかを聞かれると。

(藤井聡太八冠)
「全国各地を回ることができて八冠で反響をいただいた。いろいろな経験ができた一年だった。言葉にすると『充実』が一番近い」

さらに地元に対する、こんな思いも。

(藤井聡太八冠)
「地域の方に将棋を楽しんでいただける機会を増やしていきたい」

その藤井八冠の地元、愛知県瀬戸市でも市の知名度向上などに大きく貢献したとして、藤井八冠に「名誉市民」の称号を贈り、30日に伝達式が行われました。

藤井八冠は、六段だった2018年に「瀬戸市民栄誉賞」に選ばれましたが、今回はそれを上回る称号です。

藤井八冠は史上最年少、9人目の名誉市民です。

(瀬戸市 川本雅之市長)
「郷土の星。これからも様々な大変な戦いが続くと思うが、瀬戸市をあげて瀬戸市一丸となって応援する」

(藤井聡太八冠)
「街全体で応援をしていただいて、そのことがとても励みになっている。瀬戸市は焼き物の町として有名。毎年9月に『せともの祭』が開催されている。私自身も子どもの頃に毎年行っていた。とても楽しめるお祭りかなと思っている。瀬戸焼きそばというB級グルメもあって、私もたまに家で食べることもある。結構おいしいので多くの方に召し上がっていただけたらなと思う」

このダブル受賞を受け、瀬戸市民は…。

(瀬戸市民)
「光栄、すごいこと。商店街の人たちも前から応援しているが、力になっている」
「同じ瀬戸市民として誇らしい。『瀬戸市ってどこ?』と県外に旅行に行くと、よく聞かれるが『藤井聡太八冠の瀬戸市だよ』と言うと『知ってるよ』と、よく言われる」

盛り上がりは「チャント!」ではお馴染みとなった、こちらでも。

(喫茶スマイル 鈴木松子店長)
「また次のメニューが考えられるなんて幸せ」

瀬戸市の「喫茶スマイル」では、これまでも藤井八冠を応援しようと、タイトル獲得の度などに数々のお祝いの新メニューを考案。

二冠獲得の時には似顔絵が描かれた「ダブルオムライス」。

四冠獲得の時には地元グルメを積み上げた 「四冠タワー」を考案。

六冠獲得の時は6つのコーヒーカップにスイーツなどを入れて積み重ねた「カップ盛り」。

そして10月、史上初の八冠独占の最強棋士誕生を祝い、そばめしやトンカツなどをアレンジしてバースデーケーキに見立てた「スマイル8バースデー」を提供しました。

では瀬戸の名誉市民となった今回は?

瀬戸にこだわり瀬戸焼の器に、瀬戸焼きそば瀬戸豚のとんかつ、さらに似顔絵と名誉市民の文字も入れた特別メニュー!

(喫茶スマイル 鈴木松子店長)
「本当にいろいろな所から来てくれて和気あいあいと、この店でできることがうれしい藤井八冠を通じて、みんなでここに集まって話せるのがうれしい」

お値段は11月30日ということで1130円で、12月1日から新メニューとして登場です。

さらに、市内のこちらのスーパーでは12月1日と2日の2日間限定のセールを行います。

通常、飛騨牛100グラム1800円が約半額の888円に。

卵1パック235円が88円に、他にもほうれん草や惣菜など5品を八冠獲得にちなんで割引きするということです。

(新鮮市場いせや 福丸明男社長)
「藤井八冠のおかげで瀬戸市自体が盛り上がっている。瀬戸の宝」

瀬戸市のお祝いムードはしばらく続きそうです。

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