前原誠司氏、国民民主党を離党し新党結成へ 12月は新党設立の季節?

国民民主党の代表代行を務める前原誠司衆議院議員が11月30日に記者会見し、離党したうえで新党を結成すると表明しました。新党の名称は「教育無償化を実現する会」で、代表に前原氏が就任し、ほかに国会議員4名が合流するということです。

前原氏含め5名が新党の創設メンバーに

合流する国会議員は、国民民主党からは嘉田由紀子参議院議員、斎藤アレックス衆議院議員、鈴木敦衆議院議員の3名で、それぞれ副代表、政調会長、国対委員長に就任予定。そして立憲民主党を離党した無所属の徳永久志衆議院議員が幹事長に就任予定で、前原氏を含めた計5名が新党の創設メンバーとなります。前原氏ら4名は国民民主党に離党届を提出しましたが、現時点で受理されていないということです。

会見で前原氏は、いまの国民民主党について「トリガー条項の凍結解除にほとんどの体重をのせ、支持率が低い岸田政権と協力を模索している」と批判。政策本位で非自民・非共産の野党を結集し、政権交代への道筋を付けたい意向を示しました。

新党結成の理由について「日本の失われた30年を取り戻すため、少ない人数ながらも新たな道を歩んでいきたい」と説明。教育無償化、教育予算の倍増はワンイシューを掲げているわけではなく「ボウリングでいえばセンターピン」とし、日本のさまざまな根本問題を解決するものだと述べました。

代表選に敗れた直後は離党を否定

京都を地盤とする前原氏は1993年の衆院選で初当選、2021年までに10回連続当選しています。民主党や民進党では代表を務めた経験があり、民主党政権時代は外務大臣や国土交通大臣を歴任、2018年に国民民主党入りしました。

2023年9月の代表選に立候補し、玉木雄一郎代表と一騎打ちで戦いました。前原氏は非自民・非共産の枠組みでの野党間協力を重視し、大きな塊をつくって政権交代を目指したい考えを示しましたが、与党との協調も排除せず「政策本位で与野党を超えて連携する」という方針を掲げた玉木氏に敗れました。

国会議員や公認候補予定者の票で善戦したものの敗れてしまった前原氏ですが、代表選の直後は離党を否定していました。玉木氏も「ノーサイド」で団結していきたい意向を示していましたが、前原氏は代表選で推薦人となった国会議員3名とともに離党し、新党を結成するという結果になりました。

12月の新党設立が多い理由は?

ところで、過去に新党が設立された例を見てみると、12月に結成されたケースが非常に多いことがわかります。

現在の「小選挙区比例代表並立制」に変わった1994年以降に、12月1日から1月1日までに結成された主な政党をみると、

・新進党(1994年12月10日)
・太陽党(1996年12月26日)
・フロム・ファイブ(1997年12月26日)
・新党友愛(1998年1月1日)
・自由党(1998年1月1日)
・国民の声(1998年1月1日)
・改革クラブ(1998年1月1日)
・大地・真民主党(2011年12月28日)
・新党きづな(2011年12月30日)
・生活の党(2012年12月27日)→生活の党と山本太郎となかまたち(2014年12月26日)
・みどりの風(2012年12月28日)
・結いの党(2013年12月20日)
・日本を元気にする会(2015年1月1日)
・改革結集の会(2015年12月21日)
教育無償化を実現する会(2023年12月予定)

【関連記事】「どうせならカネが欲しい!? 年末の風物詩「新党結成」が起きないその理由」より

と、たくさんの新党が誕生していることがわかります。

12月の新党設立が多い理由の一つとして、「各政党への交付金は、毎年1月1日を基準日として算出する」ということが考えられます。政党交付金を受ける条件は、「1月1日時点で5名の国会議員が所属する政党であること」または「所属国会議員が1名以上かつ直近の衆院選か過去2回の参院選のいずれかで得票率2%以上」となっています。

新党を設立する場合、12月中に要件を満たす政党をつくれば1億円超の交付金を受けられることになります。12月だけでなく、1月1日に設立するケースがあるのも同様の理由と考えられます。
※政党に対し政党交付金による助成を行うことを定めた「政党助成法」の施行は1995年1月1日

詳しくは「【関連記事】どうせならカネが欲しい!? 年末の風物詩「新党結成」が起きないその理由」をご覧ください。

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