APEX PRO アイアンを筒康博が試打「実は意外な中心的アイアン」

操作性がアップしたプロ仕様モデル ご意見番クラブフィッター評価は!?

中空構造を生かした程よい飛びと、ツアープロがほれ込む操作性が特徴のキャロウェイ「APEX PRO アイアン」。前作2021年モデルから採用した中空ヘッドを今作でも継承。フォルムをよりコンパクトにし、オフセットも小さくすることで、コントロール性に磨きをかけたという。そんな進化を続ける人気中空アイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「名称&見た目で判断しちゃいけない! 一度は手に取るべきアイアン」

他の2人に比べて左右の曲がりが見られたものの打感の秀逸性を絶賛

―率直な印象は?
「打感のやわらかさは文句なく良いです。フィーリングが秀逸で、使用球はほぼ選ばないと思います。もちろん同社製『クロムソフト』シリーズがベストマッチだと思いますが、他社のボールでも同じようなフィーリングが感じられるでしょう。極端にいえば、ディスタンス系の単一層ボールであっても結果は同じ。それほどボールへの食いつき感は抜群でした」

リーディングエッジとトレーリングエッジが面取りされ ソール面ヒール部は丸みを帯びた形状に

―フィーリングに影響している一番の要素は?
「芯を外したミスヒット時でも、芯をとらえた時と打感が変わらないところです。基本的にアイアンは、ダウンブローに打ち込むクラブなので、ボールをとらえた直後に地面にコンタクトしていきますが、『APEX PRO』は細部が面取りされていて接地面積が少ない。手に伝わる振動が常に一定だからこそ、スムーズに振り抜ける。特に差が顕著に表れる5、6番の長い番手でも、安定した打感を提供してくれるので、多少のミスでも許容範囲に収まってくれる気がします」

左が23年、右が21年モデル。ステンレススチール鍛造から軟鉄鍛造に変更

―前作(2021年モデル)と比べると?
「前作もすごく高評価でしたが、改めて両モデルを打ち比べると、新作のほうが打感がやわらかくてボールへの食いつきが増しています。中空構造と思えないほど中身が詰まった感触があり、しかもスッキリしたフィーリング。適度なマイルドさを連想できるおかげか、それほどプロ向けに感じないやさしさを抱き、私くらいのHS(1Wで41~42m/s)でも十分に扱えると思わせてくれます。結果的には、飛距離性能が高い(平均149.4yd)とは言えませんが、ロフト角通り(7Iで32度)の距離が稼げて難しさは感じません」

左から「PRO」「CB」「MB」。他2機種に比べたらトップブレードは厚め

―同シリーズ「CB」と「MB」の印象は?
「『CB』については、目をつぶって試打をした場合(『PRO』と)区別がつかないほど似ている性能です。どちらもスイートスポットが広く、同じくらい打感がやわらかい。『MB』もデザインの割には、ミスヒット時の打感のバラつきが小さく、インパクトロフトを一定に保てます。3機種の中でどれがやさしくてどれが難しいという選び方ではなく、モデル名と好みで選んでいいシリーズ。ハンドファーストの傾向が弱めで、ロフト通りのインパクトを好む人は『PRO』か『CB』、ロフトを立ち気味で打ち込みたい人は『MB』という風に、自分の好みでイメージしやすいモデルを選んでいいと思います」

前作以上にアベレージゴルファーが求める要素を充実させて刷新された「PRO」

―「PRO」の(他社でいうと)類似モデルは?
「ネーミングやデザインの印象だけでは、バリバリのアスリート向けと思い込んでしまいがちですが、中身は非常に扱いやすいフォージドアイアンです。他社も最近似たようなモデルが増えていますが、ライバルは同時期発売のテーラーメイド『P790 アイアン』になるでしょうか。立ち位置的には、同社の中で中心的存在。意外とは思いますが、実は購入を検討する際のスタートとなり得る存在で、より飛距離と安心感を望むなら『APEX アイアン』『パラダイム アイアン』、軽量であれば『パラダイム MAX FAST アイアン』といったように、基準に置いていい“隠れた中心的モデル”といえると思います」

「名称に『PRO』が付いていますが、誰でも十分使いこなせる」と西川と同じ感想を述べた筒

―どのような人向き?
「新たにアイアンセットの購入を検討している人には、一度は試してほしいモデルです。純正シャフトのラインアップが、スチールシャフトの中量級以上なので、HSは1Wで40m/s以上は必要だと思いますが、対象となる条件は唯一そこだけ。腕前は全く問わず、100切りが目標のアベレージゴルファーでも、十分使いこなせる寛容性を持ち合わせています。『P790』同様に所有感から練習意欲を湧かせ、徐々に上達していくことを見越していい“長い目で見るべきアイアン”です」

総合点ではP790評(4.6)超え【総合評価4.7点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:32度(7I)
・使用シャフト:NSプロ モーダス3 120(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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