腎臓の難病、薬候補発見 iPS創薬で京大、治験へ

iPS細胞から作製された腎臓の「集合管」と似た組織。多数ののう胞が形成されている(京都大提供)

 京都大や北海道大などのチームは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って有効な薬を探す「iPS創薬」の手法を使い、水がたまったのう胞(袋)が多数形成されて腎臓の機能が低下する難病「多発性のう胞腎」に有効とみられる薬をマウス実験で見いだしたと米科学誌に30日発表した。臨床試験(治験)を来年1月に始め、人での安全性や有効性を調べる。

 チームはiPS細胞を培養し、腎臓の中で尿の通り道となる「集合管」と似たミニサイズ(約1ミリ)の組織を作製。狙った遺伝子を書き換えるゲノム編集で特定の遺伝子を働かせないようにすると、のう胞が自然に形成されることを確認した。

 他の病気で使われる治療薬など96種類の薬剤をこの組織にかけて効果を分析。白血病で使われる治療薬の一種を選び、この病気を発症させたマウスに与え、のう胞形成を抑制する効果を確認した。

 治験は白血病治療薬「タミバロテン」を使い、京大発ベンチャー企業が担う。研究チームを率いる長船健二京大教授は「新規の薬を作るより早く患者に届けることができる」としている。

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