【香港】米の香港代表部、下院外交委も閉鎖法案可決[政治]

米下院外交委員会は現地時間11月29日、米国に3カ所ある香港経済貿易代表部を業務停止に追い込める法案を可決した。上院では7月に同種の法案が外交委員会を通過済みで、上下両院とも本会議で可決されるか否かが今後の焦点となる。香港政府と中国外務省は30日、「香港事務への干渉」などと激しく非難。警戒感をあらわにした。

「香港経済貿易代表部認証法案」の下院版(NNA撮影)

米下院外交委を全会一致で通過した「香港経済貿易代表部認証法案」は今年2月、共和党のクリス・スミス議員と民主党のジム・マクガバン議員が共同提出した。香港経済貿易代表部は現在、米国ではワシントンとニューヨーク、サンフランシスコの3カ所にある。

同法案は米政府に対し、米国内の香港経済貿易代表部への特権付与を継続すべきかどうかについて、法の施行から30日以内に議会に報告するよう義務付ける。その上で、仮に政府が「特権付与継続のメリットなし」と判断した場合には、香港経済貿易代表部は180日以内に業務を停止しなければならなくなる。

また議会には、政府が「特権付与を継続するメリットあり」と判断しても承認を拒否できる権限を付与。議会が不承認を決議すれば、米国内の香港経済貿易代表部は特権を剥奪され、業務停止に追い込まれる。

共和党のマルコ・ルビオ議員と民主党のジェフ・マークリー議員が提出した上院版の法案は7月に上院外交委で可決済み。下院版も外交委を通過したことにより、法案は両院とも本会議での審議の段階に進む。

■香港と中央は立法停止を要求

香港政府は直ちに猛反発した。同法案は「一国二制度」の下での香港の地位を完全に無視し、香港国家安全維持法(国安法)の施行を悪意をもって中傷しており、香港事務への粗暴な干渉だなどとする声明を30日に発表した。

声明は、法案が事実に反し、米国内の香港経済貿易代表部が展開している香港と米国の経済関係や文化交流の強化に向けた活動を政治的な目的をもって中傷、攻撃していると非難。「国際関係の基本的なルールへの違反」「香港の政治に対する中傷、攻撃と香港事務への干渉」をやめるよう米国に要求した。

中国外務省の香港出先機関、外務省駐香港特派員公署も30日、「『法案カード』による香港事務への干渉は必ず失敗に終わる」と主張する報道官談話を発表。法案への「強い非難と断固たる反対」を表明し、立法作業を直ちにやめるよう米側に求めた。

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