J2復帰へ「人生懸ける」 カターレ引退の高橋(射水市出身)

最終戦での勝利を誓い、練習する高橋(左から2人目)と松岡(同3人目)=富山市草島

  ●YS横浜と2日最終決戦 感謝胸に恩返し誓う

 サッカーJ3・カターレ富山を地元出身選手として引っ張り、今季限りで引退するFW高橋駿太選手(34)=射水市出身=が12月2日、ホームで行われる今季最終戦(対Y.S.C.C.横浜)で現役最後の試合に挑む。「人生懸けて戦う。感謝の気持ちを伝える一戦にしたい」。富山のJ2復帰には勝利が絶対条件の大一番で、応援してくれる人たちに「昇格」で恩返しする。

 「何が何でもチャンスをつかんで昇格する。今は最後に勝って昇格しているイメージしかない」。30日、富山市草島の北陸電力総合運動公園で練習を終えた高橋選手が決意を口にした。

 Jリーガーの夢を抱いて富山一高で技を磨き、2007年にJ2のモンテディオ山形でプロキャリアをスタートさせた。カターレ富山が誕生したのは08年。高橋選手が山形を戦力外となった年だった。「いつか地元に帰ってプレーしたい」。その頃から新たな夢を思い描いた。

 その後は複数のクラブを渡り歩き、19年に富山に加入した。今季は地元でプレーして5年目。プロ入りからは人生の半分となる17年目を迎えた。

 今季限りでの幕引きは、昨年12月の時点で決めていた。「体は動くし、全然やれるけど、選手の引き際を考えた。1年間、覚悟を決めて戦いたい」。出場機会を失ったり大けがをしたりして引退を選ぶのではなく、チームをしっかりと勝利に導いてピッチを去る姿を求めた。

 リーグ戦はここまで37試合中36試合に出場して7得点と躍動。カターレを知ってもらいたいとホーム戦への観戦招待企画を設け、下部組織のアカデミーにも積極的に顔を出した。

 10月には「自分のギアを上げたい」と引退を発表。試合前の円陣では仲間が「昇格して送り出そう」と心を一つにしてくれ、奮い立たないわけがなかった。

 振り返ってみれば、20年のキャンプで左膝前十字靱(じん)帯(たい)を損傷し、約1年のリハビリ生活を送った。30歳すぎで初めて手術を受け、引退も頭をよぎった。多くの人に励まされてグラウンドに戻り「いろんな方々に応援されてきた。周りの人のサポートがあって今がある」と感慨深げに語った。

  ●「昇格で送り出す」

 引退を決めた昨年12月、FW松岡大智選手(24)=滑川市出身=には胸の内を伝えていた。それまでつけていた背番号8を託し、自身は「サンキュー」を意味する「39」を背負った。

 ドリブルや左足のシュートが強みの松岡選手は試合に絡めなかった1年目の21年夏、高橋選手からもらった言葉を胸に刻んでいる。「お前は武器があるから絶対に成功できるよ」。

 松岡選手は「お世話になった駿太さんのためにも、すごく気持ちが入っている。武器を存分に発揮して、J2昇格の形で送り出す」と力を込める。

 「5年間も地元でやってこられて、こんな幸せなことはない。あとは昇格するだけ」と高橋選手。集大成となる歓喜の輪をつくってみせる。

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