乗降客28%増、53万人 黒部トロッコ電車、今季営業終了

最終列車を見送る温泉旅館の女将=黒部市の黒部峡谷鉄道宇奈月駅

 黒部峡谷鉄道(黒部市)は30日、今季のトロッコ電車の営業運転を終えた。年間乗降客数(速報値)は、前年比28%増の53万5438人に回復した。新型コロナウイルスの5類移行や入国規制の緩和、宇奈月温泉開湯100周年効果などで順調に伸びた。特に訪日客が大幅に増え、台湾、韓国などを中心に7万7360人を数えた。

 今季は4月20日から営業運転を始めた。客数はゴールデンウイークを含む4、5月の春の行楽期が富山空港と台湾、韓国を結ぶチャーター便運航もあり、前年比69%増と好調な滑り出しとなった。7、8月の夏の行楽期は28%増、10、11月の紅葉シーズンを含む秋の行楽期は11%増で推移した。ただ、53万5千人余りの年間客数はコロナ禍前の2019年の81%にとどまった。

 30日は、宇奈月駅で営業運転終了セレモニーが行われ、宇奈月温泉の女将(おかみ)による「かたかご会」のメンバーが最終列車乗務員に花束を贈った。

 鈴木俊茂社長が「開湯100周年の節目に多くの人を迎えることができ、ありがたい」とあいさつ、来年の黒部宇奈月キャニオンルート一般開放に期待を込めた。来季に予定する運賃値上げにも触れ、一層サービスを向上させ、満足度を高めることを誓った。

 午後2時14分に最終便が出発し、かたかご会メンバーや社員らが見送った。

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