ガソリン高止まり続く…6月末から170円以上 「価格を決めて給油」客が増加 イチゴ農家「苦しい」

ガソリンスタンドでは

能地優アナウンサー(28日):「こちらのガソリンスタンド、レギュラーガソリンの1ℓあたりの価格は179円」

静岡市内のガソリンスタンド。1ℓあたりのレギュラーガソリンの価格が1カ月前に比べて3円値上がりしています。

客からは、悲痛な声が…。

客Aさん:「安いにこしたことはないので、だいぶ痛いというのが正直なところ」

客Bさん:「高いと思うけど、どうにもならない。もっと下がってくれるとうれしいですけどね」

29日に発表されたレギュラーガソリンの1ℓあたりの全国平均価格は、前の週に比べて0.3円高い174.0円になり、3週連続の値上がりとなりました。静岡県内の平均価格は、全国平均より0.5円高い174.5円。県内では6月末から1ℓあたり170円以上の“高止まり状態”が続いています。

ディオス日の出SS 出口知紀統括マネージャー:「補助金等も入っているとは思うが、ずっと高止まりしている状態で、いろんな物価が上がっている中で、ガソリンも含めてやはり高いなという印象」

Q.お客さんの反応は?

A.「『しょうがない』という反応とともに、価格や数量を設定して給油する客が増えている」

1年前の、この時期のレギュラーガソリン価格は全国平均で1ℓあたり167.6円。ちなみに7年前のこの時期は125.6円でした。

主な原産国である中東国の情勢が悪化していることや、長期化している円安によって、今年はここ数年で、最も高い価格で推移しています。

ディオス日の出SS 出口知紀統括マネージャー:「もともとの補助金の施策が、価格を下げるというよりも高くならないようにという目的が大きいものですから、(現状でも)補助金の恩恵をすごく受けているはずなんですけど、やはりずっとこの価格(170円台)で推移しているので高いという印象がある」

イチゴ農家は…

ガソリンなどの燃料高騰の影響は、県内のこんな所でも…。

栗田麻理アナウンサー:「これから収穫の最盛期を迎えるイチゴ。おいしいイチゴを育てるためには、ハウスの温度を成長に合わせて調節することが重要だといいます。こちらのハウスではこの機械で温度を調節しています。ただ、この動力源は『重油』、ガソリンと同様、価格の高止まりの影響を受けている」

焼津市にあるフルヤ園芸。5棟のビニールハウスでおよそ1万4000株のイチゴを育てています。これから収穫を迎え、今、実が赤く色づき始めているところです。

フルヤ園芸 古谷雅幸さん:「だんだん赤くなるものが増えてきてこの辺はおいしく食べられる感じ」

栽培しているイチゴは県内ブランドの「きらぴ香」。名前の通り、表面はキラキラと光沢があり、優しい酸味と上品な甘さが特長です。

栗田アナ:「(試食して)ほど良い固さ。みずみずしい。あとは香りが良い」

まさにこれからが収穫の最盛期。ただ、そこに暗い影を落としているのが燃料費の高騰です。

フルヤ園芸 古谷雅幸さん:「重油タンクから暖房機に燃料を送って暖房を入れている。ハウス内の温度を下げないように、やはり花が凍ったりするとダメになってしまうので、だいたい8℃ぐらいに設定をして、それより(温度が)下がった場合は、暖房機が勝手に入るように設定をしている」

イチゴ栽培には欠かすことのできないハウス内の温度調節。ガソリン同様、重油も高止まりが続いていて、暖房機をフルに活用するこれからの季節は、イチゴ農家にとって頭の痛い日々が続きます。

さらに問題は、暖房だけではありません。光合成をさせるためには二酸化炭素が必要になりますが、冬場は外気温が下がるため、せっかく温めたハウス内で換気によって循環させることは難しくなります。

そこで、こちらの機械で二酸化炭素を発生させます。動力源は「灯油」です。

フルヤ園芸 古谷雅幸さん:「これから暖房シーズンになるので、少しでも暖房代が抑えられるように、このようにフィルムを上に被せて保温をして対策するなど、できることをまずはやっている。あとはどうしようもなければ、温度設定を下げて、なかなか(暖房を)入れないようにするという選択肢もあるが、そうすると作物の成長が抑制されてしまう」

しかし、保温をするためのフィルムをはじめ、出荷する際のパックなども、石油製品のため、機械の燃料と同様に価格が高騰。燃料費を抑える工夫をすればするほど割を食うという悪循環です。

フルヤ園芸 古谷雅幸さん:「このフィルムもそうだが、やはり石油製品が多いので、全体的に資材が昔に比べて1.5倍~2倍になっていて、ハウスを増反したりフィルムを張り替えたりするコストも上がって規模を大きくしたり、設備を更新するのが厳しい形。イチゴの価格に、(高騰分を)のせられない分、どうしても苦しいところがある」

先行きが見えない“燃料費の高騰”。消費者も、生産者も、一体いつまで我慢を続ければいいのでしょうか…。

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