ダニエル・リカルド、フリー走行で赤旗が出た際は「時計を止めてほしい」とF1に望む

 ダニエル・リカルド(アルファタウリ)は、F1のフリー走行セッションが赤旗によって長時間中断された場合、FIAはセッション時間を延長を考慮すべきだと提案した。

 第23戦アブダビGPのフリー走行2回目(FP2)は、開始8分後にカルロス・サインツ(フェラーリ)がヤス・マリーナのターン3でコントロールを失い、アウト側のウォールに激しく衝突したため中断された。

 このインシデントにより、コースマーシャルが現場を清掃、バリアの修復を行ったため、中断は長時間に及んだ。しかし残り25分の時点でセッションが再開されると、今度はニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が最初のフライングラップ中にターン1出口でスピンしてウォールに衝突し、ふたたび赤旗が出された。

 当初1時間の予定だった夕方のセッションは、予選とレースのコンディションがわかる唯一のセッションだったが、コースでの走行時間はわずか26分間となってしまった。

 したがって、この日最大となる16周を走行できたのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)といったドライバーだった。彼らはチームに課されたルーキードライバー起用の義務によって、FP1には参加していなかった。

 今回のFP2で展開された異例のコンディションを鑑み、リカルドは長時間の赤旗によって走行機会が失われることを避けるべく、F1はセッション時間を延長できるように定めるべきだとは考えている。

2023年F1第23戦アブダビGP FP2でクラッシュしたカルロス・サインツ(フェラーリ)

「時計を止められたらいいね」とリカルド。

「僕はFP1を走ったけれど、多くのドライバーは走っていない。だから彼らはFP2を5周くらいしか走れずに眺めていた、少しでも走行時間を取り戻せたらよかったと思うね。ドライバーズブリーフィングでこのことを話し合い、いくつかルール変更を検討できるかもしれない」

 FP2で2回目の中断の原因となったヒュルケンベルグは、「それはとても公平な提案だと思う」と、リカルドのコメントに同意した。

「ただ、延長したセッションの後に行われるスケジュールをどう変更するのかとか、テレビの放送時間とか、他にも影響するよね。だから、僕たちが考えているほど単純な話ではないかもしれない」

「でもカルロスの赤旗の時に、バリアの修理を待って僕たちが20分を失ったのは明らかだ。だからこの件は今後も話し合う必要があるだろうね」

 一方、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は、リカルド、ヒュルケンベルグとは異なった見解を示した。

「ルールの変更が必要だとは思わない。なぜなら赤旗が出ても、それは誰にとっても同じことだからだ」とボッタス。

「僕は最近はフリー走行が多すぎると思う。3回のフリー走行は多すぎだ。今はシミュレーションツールやシミュレーターがあるのだから、もはやフリー走行はそれほど必要ではない」

2023年F1第23戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第23戦アブダビGP バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)

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