茨城交通(水戸市、任田正史社長)は30日、路線バスの運賃値上げ改定を国土交通大臣に申請したと発表した。値上げ率は約11%で、初乗り運賃(現金)は水戸エリアが現行の170円から190円に、日立エリアが現行の190円から200円に上がる。実施は2024年3月1日から。一部自治体との協議路線などを除き全路線で適用される。
深刻化するバスの運転士不足に対応するための人件費増加のほか、燃料費高騰などに対応するのが主な理由。運賃改定で通勤・通学の定期券料金は、水戸エリアで1カ月の定期が720~840円上がり、日立エリアで360~420円上がる。同社では今後、利便性向上のため運賃決済サービスや電気自動車(EV)バス導入などの設備投資も予定している。
認可には3カ月かかる見通しで、認可され次第、周知期間を設けて値上げを実施する。同社は、消費税率引き上げに伴う運賃改定を除き水戸エリアでは1997年6月から、日立エリアでは2010年1月から一般路線バスの運賃を変えずに運行していた。
同社の路線バス事業は、車社会進展や山間部の過疎化などから慢性的な赤字運営が続く。ダイヤ改正や路線再編に取り組んだが、「継続が困難で、運賃改定による経営改善が不可避」と判断したという。同社は運賃改定により、来年度の赤字を約2億3900万円圧縮できると見積もっている。