ザ・ポーグスのシェイン・マガウアンが65歳で死去

現地時間2023年11月30日、ケルティック・ロック・バンド、ザ・ポーグスの型破りで魅力的なフロントマンであったシェイン・マガウアンが亡くなった。享年65歳だった。最近入院していたと報じられていた、破滅的な生き様でも知られたシンガーの死を、ザ・ポーグスが公式アカウントで明らかにした。彼の切なく、ほえるようなボーカルは、伝統的なアイルランド音楽とパンク・ロックのスピリットを融合させた「Dirty Old Town」や「A Pair of Brown Eyes」のような愛される曲に代表されるバンドの音楽に命を吹き込んだ。

バンドは、マガウアンの妻ヴィクトリア・メアリー・クラーク、妹シオヴァーン、そして父モーリスに代わり、最愛のバンドメイトを追悼する声明を発表した。タバコとワインが入ったグラスを片手に、彼の特徴である親しみやすいゆがんだ笑みを浮かべた全盛期のマガウアンの写真とともに公開されたこの声明には、「シェイン・マガウアンの逝去を、深い悲しみとともに、謹んでお知らせします。シェインは今朝(2023年11月30日)午前3時、妻のヴィクトリアと家族に見守られながら静かに息を引き取りました。祈りと最後の儀式が執り行われ、家族に安らぎを与えました」と書かれている。

インスタグラムの投稿で、妻のクラークは、「これをどう言えばいいのかわからないので、ただ言います。ずっと私の目の前にある光で、私の夢の尺度で、生涯の恋人で(赤いハートの絵文字)、最も美しい魂で、美しい天使で、太陽で、月で、私が大切にしているすべての始まりで終わりであるシェインは、イエスとマリア、そして彼の美しい母テリースの元へ旅立ちました」と綴っている。

英BBCがかなり前から具合が悪かったと報じたこのシンガーは、長年深刻なドラッグと飲酒の問題を抱えていたことでも知られ、アルコールの乱用で信頼できなくなったことが原因で1991年にバンドから追放された。2001年にバンドに復帰し、2014年にバンドが解散するまでの最後の13年間を過ごした。マガウアンは2022年12月にウイルス性脳炎で入院し、その結果、今年初めに集中治療室で数か月を過ごした。

文学、聖書、神話、労働者階級の英雄たちの苦難に満ちた生活からインスピレーションを得たザ・ポーグスの楽曲に登場するしわがれたキャラクターを体現していたマガウアンは、英国の音楽シーンにおいて神話的な存在だった。彼のボーカルは、怒り、けんかっ早さ、そして悲しそうな眼差しの諦めが入り混じり、1曲の中で怒鳴り声やうなり声から枯れた優しさまで表現することができた。

クリスマスを数週間後に控えた時期の彼の訃報は、その喪失感にいっそうの痛ましさを加えた。ザ・ポーグスの1987年のホリデー・スタンダード「Fairytale of New York」がよくヘビー・ローテーションされる季節だからだ。マガウアンと故カースティ・マッコールのヴォーカルをフィーチャーした、揺れ動くセンチメンタルなこのバラードは、リリースされた年の全英チャートでは最高2位を記録した。クリスマスの時期には常にチャート入りするため、リリース以来19回も全英TOP20にランクインしている。

© 株式会社阪神コンテンツリンク