「あきない世傳 金と銀」小芝風花、初主演となる時代劇の魅力を語る!「現実と非現実のはざまみたいな感覚がある」

NHK BS・NHK BSプレミアム4Kで、12月8日にスタートするBS時代劇「あきない世傳 金と銀」(金曜午後7:30)。放送に先駆け、取材会が行われ、幸を演じる主演の小芝風花と、呉服屋「五鈴屋」の三男・智蔵役の松本怜生、脚本を手掛ける山本むつみ氏、演出の田中健二氏が登壇した。

BS時代劇「あきない世傳 金と銀」は髙田郁氏のベストセラー小説を原作に、女衆(おなごし)として「五鈴屋」にやって来た幸がさまざまな苦難にぶつかるたび、己の知恵と周りの教えに助けられながら、女衆から御寮、そして女主人として登りつめていく姿を描く、恋あり、笑いあり、涙ありの人情時代劇。

小芝は、演じている幸について「原作を読んだ時に感じた幸は、知りたいことをどんどん知りたいっていう知識欲がものすごく、特にこの時代、女性が商いの知識を含め、学を身につけることに対してものすごく否定的で、男性に比べて下に見られることも多いです。しかも、幸は女衆という奉公人として入っているので、余計に低く見られる立場にもかかわらず、怒られても気になったことに一直線で、知ったらそれでいいというだけじゃなく、どうやったら商いにつながるんだろうと知識を絞るのが好きな、好奇心旺盛な子です」と語りつつ、「原作では頭の中でぐるぐる考えて、言葉を出すのが少ない女性ですけど、ドラマでは山本先生がとても親しみやすいキャラクターに変えてくださっていて、表情も豊かで思っていることがポロッと出て、周りを驚かせたりする原作とはまた一味違うすてきな幸になっていると思います」と、原作とドラマの違いを説明した。

幸が働く呉服屋「五鈴屋」の三兄弟の末っ子・智蔵を演じる松本は「暗いシーンが続いたりする中で、幸と智蔵の2人が毎回笑顔と台本に書かれていて、『五鈴屋』にとって重大な立ち位置になっていると感じました。幸が智蔵に心を開いた理由もそこだと思うので、表情の管理が難しかったんですけど、笑顔すぎず、でも安心できる人間像を苦戦しながら頑張って演じました」と語った。

脚本を手掛けた山本氏は「原作の雰囲気を大事にしつつ、小芝さんが幸を演じられるということで、キュートな魅力が全開になるように原作よりアクティブな幸にしています。そしてときめきも欲しいので、智蔵さんとのラブストーリーもしっかり作らせていただきました」と原作との違いを述べ、大切にしているポイントを「43分間飽きさせないよう、そして普段時代劇をご覧にならない中でも面白いドラマになるように展開を早くして、飽きないドラマになるようにしました。そして原作の中に商いの知恵と知識が多く書かれていて、物が売れにくい現代で、皆さんがいろいろ考えていただけるよう、原作にある商いの心みたいなものをうまく表現できるように考えながら書かせていただきました」と明かした。

今回の演出を取りまとめた田中氏は「東京で大阪の商いを題材にしたドラマを作るというのは、プレッシャーが大きかったです。セットのディテールにこだわっていて、大阪にも取材に行ったり、監修の先生にもお話を聞いてかなり頑張って作りました」とコメント。

記者に撮影の合間のエピソードを尋ねられると、小芝は「所作指導の先生から、建物に入る時は左足から入って右足から出る『左進右退』ということを教わっていたんですけど、それを初めて聞いた時、怜生くんの隣に行って『左進右退ってしってる?』と聞いたら『刺身うまい?』って返してきて、かわいらしい子なんだなとすごく和んだのを覚えています(笑)」と、松本の魅力を教えてくれた。

そんな松本は「所作指導の先生が、ほかの人から見た自分を一番見てくれているので、ここは腕を伸ばす、所作ができていないとか、本当に細かくアドバイスしていただいて、本当にありがたいと思っています。先生に『座るたびに!』と何度注意されたことか。最近やっと板についてきたって言われるんですけど、今でも頭の片隅には姿勢という文字が浮かんでいます」と苦労した様子。

時代劇では初主演となる小芝。時代劇の魅力を「私の中では現実と非現実のはざまみたいな感覚があります。感情や人間模様といったことは現実に近いんですけど、常識があまりにも違いすぎると感じています。例えば恋愛にしても、昔の時代は手をつないで歩くだけでも、現代の感覚とは違いますし、商いにしても女衆が入っちゃいけないスペースがあったりするのも違います。現代にはそんな差別はないし、女性が商いするのも当然の時代だからこそ、一つ一つにルールがあって驚きます。所作も覚えるのは難しいけど、身についてくると楽しく感じます」と話した。

松本も「僕はいまだに時代劇に難しさを感じています。既に撮影は終盤を迎えているんですけど、いまだ動きの中に疑問を感じています。正座した状態から少し前に出る時にどういう移動が正しいんだろと悩んだり、自然な感じを出せるよう意識しています。演じている智蔵も好奇心が強い役ですけど、自分自身もこの時代劇に好奇心旺盛な姿勢で挑んで、本当に楽しんで撮影させていただいています」と、悩みながらの演技も踏まえて、その成長をうかがわせた。

加えて、幸の幼少期を演じた永瀬ゆずなに関して、小芝は「現場ではなかなかお会いできず、役を合わせることがあまりできなかったんですけど、すごくしっかりしていて現場では明るくムードメーカでした。同じ役なので、もちろん共演シーンはありませんでしたが、こんなに現場を明るくしてくれる子から、幸を引き継げるのかなという不安があるぐらいでした。本当にみんなに愛される明るくてかわいらしい子でした」と絶賛した。

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