その行事や団体、本当に必要? 地域活動を「棚卸し」 和歌山県田辺市で新しい自治のあり方模索

地域組織の行事一覧を確認しながら意見を交わす新庄地域の住民ら(和歌山県田辺市新庄町で)

 和歌山県田辺市の新庄地域(新庄町、神島台、たきない町)で、地域団体の行事を整理するための「棚卸し」が始まった。担い手不足の中、事業や団体自体の見直しが狙い。「似た活動が多い」「本当に必要な行事か」といった意見のほか、「役割が知られていない団体もある」といった声が上がっている。

 少子高齢化や社会情勢の変化で、自治会(町内会)の運営が難しくなる中、田辺市は新しい自治の在り方を研究している。モデル地域の新庄では8月から検討を開始。4年間かけて取り組む。市は蓄積したノウハウを生かし、他の地域に広げていこうと考えている。

 行事の「棚卸し」は、町内会や民生委員、育友会など各団体の代表による「新庄地域みんなの集い」で行っている。新庄公民館でこのほど会合があり、約30団体の年間行事予定を並べて、現状を確認。統合や廃止も視野に意見を出し合った。

 議論の中では「縦割り行政の影響で、管轄は異なるけれどよく似た活動をしている団体がある」「各団体に共通する清掃活動は二度手間になることもある」「小中学校の運動会は、単独開催が難しい。地区の運動会に統一できないか」などの意見が出た。役割自体が分からない団体もあり「今回の資料だけでは検討できない」という声もあった。

 進行役を務めたNPO「わかやまNPOセンター」(和歌山市)の志場久起理事長は「人口が増加する時代に地域のつながりをつくろうと生まれた行事も多い。人口減少の時代に合っているか点検してほしい。伝統行事も規模を縮小することで維持するなど、柔軟に考えてもらいたい」と呼びかけた。

 町内会の複数の役職を兼務している60代の男性は「いよいよ議論が具体的になってきた。課題をどこまで解消できるかはまだ全く見えないけれど、変革できるかもしれないという期待もある」と話した。

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