社屋の一角を「教室」に 南紀白浜のIT企業、通信制高校に無償で貸す

覚書に押印する浦聖治・代表取締役CEO(右)と藤藪庸一理事長=和歌山県白浜町中で

 和歌山県白浜町中にあるIT企業「クオリティソフト」は来年4月から、同社東館の3部屋を町内にある明誠高校(島根県益田市)広域通信制課程、和歌山白浜SHIP(シップ)に無償で貸す。その覚書の調印式がこのほど、同社であった。

 シップは、従来の高校生活になじめない人や悩みや不安を抱えている人、働きながら高校卒業を目指す人、学業以外にも打ち込みたいことがある人など、幅広い人々が学んでいる。全国各地に学習拠点がある。

 白浜シップは、同町三段壁での自殺防止活動をしているNPO白浜レスキューネットワーク(藤藪庸一理事長)が運営し、今年で4年目。田辺市、白浜町、上富田町から、2年生3人、1年生2人の計5人が学んでいる。定年退職した元教員や医師ら11人が教えている。

 現在の1、2年生の生徒は、同町にある白浜バプテストキリスト教会などで、毎日午後から2時間の授業を受けている。来年新入生が入り、3学年となる予定で、部屋数が足りなくなることから、新たな教室を探していたところ、同社が社会貢献活動の一環で社屋を貸すことになった。

 調印式で、覚書に押印した同社の浦聖治・代表取締役CEOは「(白浜シップの活動は)社会にとって、とても重要な活動だと思っている。できる限り協力していきたい」と述べた。

 藤藪理事長は「教室が駅から近くなるなど、生徒たちが勉強する環境が良くなるので、大変ありがたい」と感謝した。

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