なべやかん遺産|エクシストコレクション 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「エクシストコレクション」!

貞子女優・佐伯日菜子さんの演技力

当時のライフマスクコピーを使ったリーガンマスク。最高の「顔」だ!

家でサブスクを観る時、検索で”ホラー“を見てしまう。何か面白そうなホラー映画はないかと物色する日々。ホラー映画なのに”面白そう“というのも変だが、中々恐怖を味わえるホラー映画には出会えない。

シリーズものは免疫が出来ちゃうので、前作を大幅に超えてこないと驚きも恐怖も無いまま映画終了になってしまう。先日、サブスクで『スクリーム』シリーズの5と6を観たが、殺人鬼が現れ殺人が起こったり主人公が追われて追い詰められても名探偵コナンを観ているのと同じ感覚だったりする。

コナン君も殺人事件が起こるからね。違う部分は、実写とアニメ、血がドバドバ出たり臓物が飛び出したりしない、それくらいかな?(笑)

劇場にホラー映画がかかると時間が許す限り観に行こうと思っている。

最近だと邦画『リゾートバイト』を観に行った。インターネット上で話題の都市伝説「リゾートバイト」を映画化したものだったので期待が大きかった。

大作映画と違いローバジェット映画だったが、なかなか良い作品になっていた。テレビ局が乗っかった超大作よりこういった映画の方が良かったりする。このような映画にもっともっと予算が付く国になって欲しいな~。

『リゾートバイト』でダントツに良かったのは、女優の佐伯日菜子の演技だった。佐伯さんと言えば映画『らせん』で貞子を演じた後にホラー関連のオファーが100本超えしたホラー界のクイーン。

別にホラーしかやらないというわけではない。むしろホラーは久々。毎年様々な分野の映画に何本も出演していて、今年も5~6作出演作が公開されているのだから凄い女優さんとしか言いようがない。プロ野球選手だったら出塁率5割越え!大谷選手のような歴史に残る選手って事になる。

映画史に残る“笑顔”

『リゾートバイト』で佐伯さんが演じたのは民宿の女将さん。この女将さんがここで起こる恐怖の原因を知っているキーマンでもあるのだが、主人公に対し意味深な笑みを浮かべるシーンがある。

スクリーンに佐伯さんのアップが映し出され、そして意味深な笑顔をする。これを観た時“この映画は勝利した”と感じた。ハイバジェット映画は全てに時間もお金も掛けられるので良いシーンが多いのだが、ローバジェット映画は時間も余裕も無いので、数シーンしかこだわりの映像を創れない。だからこそ、そういったシーンが重要になってくる。

こだわりシーンの無い映画は、ただのクソ映画。でも『リゾートバイト』は違う。佐伯さんの笑みは、映画史に残る「顔」だった。あの「顔」を映画のポスターにすればもっと話題になったのに。あの「顔」のTシャツがあれば買うし、ポスターがあれば額に入れて飾るし、スマホの待ち受けにだってしたい。

自分が金持ち会社の社長でスポンサーだったなら、5大ドームのスポンサーになって、あの「顔」をバックスクリーンにドカンと貼りたいね。

その他、田んぼアートにしたり、札幌雪祭りの雪像にする。映画史に残る“笑顔”を作れるって凄い事だよ!

リック・ベイカーさんの神業

ホラー映画と言えば、12月に『エクソシスト』の続編が50年ぶりに公開される。この映画だって、企画段階の時に佐伯さんのあの「顔」を見てもらえていたら配役が変わったかもしれない。

「アジア人が悪魔に憑依されても良いのでは?」そんな会話が会議室で出た可能性だってある。「アジア人だったら除霊はお経?でも、お経で追い払えなくて、やっぱりキリスト教が最強って事にしたらどうでしょうか?」なんて会話が飛び交ったかもしれない。佐伯さんには本家でリーガン的な役をやってもらいたいな~。

話を本家『エクソシスト』に戻そう。『エクソシスト』の続編は非常に楽しみだが、第一作目を超えるのは難しだろうなーってネガティブな気持ちになってしまう(超えてくれたら最高!そうなったらホラー最高傑作になる)。だって第一作目は映画史に残る傑作だしホラー映画でもベスト3に入る作品だ。

物語も画も良ければ特殊メイクも良い。特殊メイク技術は70年代より現代の方が技術も材料も格段と良くなっているが、リーガンを演じたリンダ・ブレアさんの顔と特殊メイクアーティスト界の神ディック・スミスさんのセンスが合体して最上級のキャラクターを生み出した。

ディック・スミスさん、弟子のリック・ベイカーさんのセンスは地球上でトップクラス。顔の傷の位置や大きさが絶妙のバランスなんだよね~。そこが神の技なのだ。

エクソシストグッズ収集の重要なルール

『Hanada』連載で前にもエクソシストグッズを紹介しているが、新たに少し増えたので今回はそれらを中心に紹介しようと思う。昔、エクソシストグッズは売られていなかった。その理由は悪魔で商売するのは良くないって考えがあったみたいだ。

ある時期からグッズ販売が増えていったおかげで自然とコレクション数も増える事になるのだが、エクソシストグッズを集めるにあたり自分なりの重要なルールがある。

それは悪魔を呼び起こしたパズズの像だけはコレクションに加えないという事だ。やっぱりパズズはまずいでしょう?

呪物を家に入れるのと同じ気がする。絶対に良い事が起きないって思うもん。だからコレクションに加えない。日本の非核三原則は、核を作らず、持たず、持ち込ませず。それと似たようなもので、やかんのパズズ三原則は、作らず、持たず、持ち込ませず、なのだ。

ハロウィン用のリーガン。壁に悪魔の顔が投影され首が回り声を発する。

最近コレクションに加わったリーガンは等身大サイズの物。これはM1号(ソフビメーカー)の西村さん(コレクターの師匠)がアメリカから持ってきてくれた物だ。西村さんがアメリカに行っていたのはちょうどハロウィン時期だったので、アメリカのスーパーや専門店はその時期限定のホラーグッズが沢山発売されていたの。西村さんが買ってきてくれたリーガンは、電源を入れると首が回りスピーカーから言葉が聞こえ背中に仕込まれているレンズから悪魔の顔が壁に投影されるといった手の込んだもの。

リンダ・ブレアさんにサインいただきました!

それだけでも凄いのだが、西村さんは『モンスターパルーザ』というイベントに参加する為にアメリカに行っていたので、ゲストで写真&サイン会をやっていたリンダ・ブレアさんにサインをもらってくれたのだ。リーガンの首元にリンダ・ブレアさんのサイン。証拠写真もあるので価値ある立派なお宝になった。

ベッドに縛られた首振り人形。二頭身だがかなりリアルな顔をしている。
スパイダーウォークの首振り人形。リアル感はさほど無い。
首振り人形2種。一緒に並べて飾りたくなる。

西村さんにお土産でリーガンが階段からスパイダーウォークで降りてくる首振り人形もいただいた。階段スパイダーウォークのフィギュアは他にも持っているが、これも中々良い。同じ首振り人形では、ベッドに縛り付けられているリーガンを持っているので首振りシリーズが増えて嬉しい。

アメリカ滞在中の西村さんからこんなLINEが来た。「お土産を買ったぞ!」そう書かれた文章の下に写真が添付されたので見てみたらパズズの像だった。すぐ西村さんに「パズズはいりません。パズズは持たず、持ち込ませずです」と返信。そんなわけでパズズは西村さん宅にあると思う。西村さんに悪い事が起こりませんように。

ルパン三世などのアニメ監督をしている宮繁之監督のコレクションを拝見に行った事がある。宮監督はロボコップと西遊記が大好きでコレクションが物凄く充実している。羨ましくなるようなコレクションの数々を見に行った時に宮監督から頂いたのが関節稼働するポーズが取れるリーガンの1/6フィギュアだ。

Raiman Artworkのリーガン。ベッドの上で「ファックミー」シーンが再現できる。
Rainman Artworkのシリアルナンバーは2/13。13体しか販売されてないから超貴重!
顔もお腹に浮き出た文字も超リアル。

Rainman Artworkから発売されたリーガンは第一形態と最終形態の2バージョンある。第一形態のリーガンは13体、最終形態は40体発売され、宮監督からいただいたものは第一形態のシリアルナンバー2/13である。リーガン用のベッドもあり、さらに小さな十字架も付属されているので「ファックミー」のおぞましいシーンが再現出来る。

リーガンフィギュアの拘りは他にもあって、パジャマをたくし上げるとお腹の部分にHelp meと文字が浮き出ている。この拘りは嬉しいね。宮監督、高価なリーガンフィギュアありがとうございます。

『エクソシスト』のLP&EPレコード。LPも種類あるだろうな?
帯違いの小説。

先日、エフエム世田谷の全国放送ラジオ『なべやかんのブヒブヒスパークタイム』に怒髪天の増子直純さんがゲスト出演してくれた。

その時に『エクソシスト』の音楽の話になり「あの曲、映画で使われているのは少しだけで後半は怖くない別の曲になるんだよね」と言っていたので、うちにもレコードある事を思い出し引っ張り出してみた。

LP版とEP版。シングルは3種類ある。70年代の人気映画のレコードって種類あるよねー。ブルース・リーのレコードなんて何枚あるのだろう?

ハードカバーの小説は二冊持っている。二冊は帯違い。これは未確認生物研究家で放送禁止映像作品収集家の天野ミチヒロさんから貰ったもの。何故かわからないが、エクソシスト物ってプレゼントしてくれる人が多い。やっぱり皆さん何かしらの恐怖を感じているのかな?

『エクソシスト』のグッズは他にもあるが、今回はこれくらいにしておこう。また色々と増えたらご紹介しようと思うがその時もパズズは無いからね。

リーガンは本当に素晴らしいキャラクターだ。最高のデザイン、最高の造形作品作のキャラは集めたくなる。こればリーガンだけでなくゴジラにも当てはまるよ。ハリウッド版も-1.0のゴジラもリーガンのような素晴らしさがあれば未来永劫商品が売れたのに。

そういった意味でも『リゾートバイト』の佐伯日菜子さんは完璧。Rainman Artworkやホットトイズやプライム1のようなクオリティが高いメーカーから佐伯さんが演じた民宿の女将が発売されたらな~。そうしたら絶対に集めるよ。

なべやかん

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