犬スキ、モンマルトルで月夜のパン屋編

こんにちは、吉田パンダです。前回に引き続き、パリはモンマルトルの丘からお届けします。お供は、冥界の闇に紛れる漆黒の黒犬、スキッパーキのスキです。「きょとん」

ペット用スリングに収まったスキが今、どこにいるかというと、、

こちらです。映画のセットみたいな街灯とカラーリング、いつも観光客で賑わっているカフェレストラン、「Le Relais de la Butte」。一度も利用したことはありませんが、創業はなんと1672年!今年で351年目という老舗でした。洗濯船と呼ばれる集合アトリエ住宅は目と鼻の先ですから、ピカソやモディリアニもこの場所に座っていたのでしょうか。なるほど混むわけだ、、←今ごろ。

坂の語源は「堺」と言われています。だとすると、小高い丘になっているモンマルトルには「こちら」と「あちら」を隔てる堺が数多く存在することになりますね。パリの中でモンマルトルが特別な場所に感じるのは、そのせいかも知れません。

さて、そんな風にどこか神秘的なモンマルトル、その一角で3年前から営業している「シンヤパン」を訪れました。

天然酵母を使って、愛情150%で作られたパンが並びます。詳しくは「シンヤパン」で検索してください(端折った)。

Shinya Pain

41 rue des Trois frères 75018 Paris

instgram:https://www.instagram.com/shinyapain_montmartre/

天然酵母=酸っぱいパンというイメージを持つ人も多いかも知れませんが、その中でも酸味の強弱はありますのでシンヤさんに尋ねてみましょう。

あ、先客がいました。

「すいません、犬用ササミトッピングパンでお願いしまっす!!」

さすがにありません!!というか、君はグルテンフリーじゃないとだね(スキにはグルテンアレルギーの疑いがあり)。

行列のできるシンヤパン。時には1時間近く並ぶこともあるそうです。

小麦とパンの美しさに魅了され、食べること、生きることの深い結びつきをそこに見出してお店を開くに至ったシンヤさん。その笑顔からはパンが好きで仕方がないこと、パン作りの喜びを人と分かち合いたいことが、羨ましいほどストレートに伝わってきます。この人のパンが、美味しくないわけがない。それでも「酸っぱくないパンください!」と天然酵母パン屋さんに来て、無理を言う我ら。今回はオーストリアの古代小麦を扱ったパンや、プチエポートル、フォカッチャなどをお身請けいたしました。大切にいただきます。

シンヤパンを検索すれば絶賛の記事しか出てこないと思いますが、天然酵母パンを食べ慣れていない人にとっては「え、食べづらい。モサモサしてるし、酸っぱいし硬い、、これが行列のできるパンなの?」というのが素直な第一印象だと思います。万人受けするパンとは思いませんが、バターをのせて(塗ってじゃなくて)よく噛み締めて味わっていると、いつの間にか「うん、浮ついた都会の男ってさ、どこか物足りないのよね(白パンのことです)」と思い始め、もう一度アイツに連絡をとりたくなる、、、という。まあ言ってみれば、そういうパンです←どういうパンなの?

シンヤパンと同じ通りにある、映画「アメリ」に出てくる八百屋さん。封切りはもう、20年以上前になるんですね(遠い目)。フランスに来て最初に映画館で見た映画が「アメリ」でした(衝撃だった)。

「天然酵母もアメリも、どうでもええんじゃい」

前回の犬カフェでポメ軍団に追い回されて、疲れ切った黒犬です。

トトロ耳と呼び、密かに気に入っているスキッパーキの耳(後ろ姿)。

というわけで静かな雨上がりの月夜、ヤドカリスキとモンマルトルのパン屋さんを訪ねました。次回はノルマンディーの民宿をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに。

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