【日本薬剤師会】医薬品販売制度検討会への規制改革の意見表明「憤り」

【2023.12.01配信】日本薬剤師会は12月1日に定例会見を開き、11月30日に開かれた「第10回医薬品の販売制度に関する検討会」についてコメントした。

記者から、販売制度検討会に対して異例といえる規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)(座長・佐藤主光氏)から意見書が提出されたことについての見解を求められると、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は「憤りを覚えた」と語った。

「まず、なぜ意見書が出されたのかが、すごく疑問」と森副会長。「意見書を出されたことで検討会としてどうしたらよいのか。真摯にこれまで10回の議論を重ねてきた。その結果を、ここで何か変えろということなのか」(森副会長)と語った。

「おもしろくないというのが率直な気持ちだし、検討会としてとりまとめが出たあとにどうなるのか心配している」とした。

厚労省検討会では、デジタル技術を活用した医薬品販売に関して、受け渡し店舗を管理する店舗を設定し、オンラインでの相談などによって販売を可能とする方向が議論されてきた。こうした中、規制改革推進会議WGの意見書では、管理店舗が管理可能な受け渡し店舗数の上限設定について見直しを求めている。検討会では「数店舗」などの意見が出ているため、その拡大を求めている格好。

森副会長は、日本薬剤師会としてデジタル技術を使った医薬品販売に対して可能性を探ることについては否定していないとの前提を示した一方、「まだデジタルで医薬品販売が管理できるのかどうかも分かっていない中で、管理店舗数の撤廃を求めていることには憤りを感じた」と述べた。
「医薬品の特性を考えた時に安全性を確保することは重要で、それは国民を守るためだ。それをないがしろにしてまでやるべきではない」(森副会長)として、慎重な段階を踏んだ制度設計が必要との姿勢をにじませた。

規制緩和の方法論に関しては、厚労省の販売制度検討会で座長を務める森田朗氏(次世代基盤政策研究所代表理事)も検討会の終盤で意見を述べていた。実際の高速道路の速度制限の上限緩和を例に、「まずはやってみて安全なことを確認してから上限をあげていくという手法がとられている」と述べていた。

© 株式会社ドラビズon-line