旧民社党の流れをくむ国民民主党で、前原誠司代表代行や鈴木敦氏(衆院比例南関東)ら国会議員4人が離党の意向を示し、無所属議員を加えた5人による新党結成を表明した。鈴木氏は国民神奈川県連の代表で県内関係者への衝撃が広がる。中道路線を貫き結束を保ってきた勢力の分裂劇は、政治資金問題に揺れる自民への「思わぬ助け舟」(自民幹部)にもなっている。
旧民社党を中心とした神奈川の中道勢力は自動車をはじめとした産業系労組を中心に旧社会党とは一線を画し、首長選などをリードしてきた。1983年の参院選神奈川選挙区では公明との連携で同党横浜市議だった服部信吾氏をトップ当選させるなど「公民協力」という政治勢力結集の新たな枠組みを築いた。
県議を経て衆院議員を6期務めた田中慶秋元法相の下、与野党交代や政党の離合集散にあっても結束を保った。国民民主党にあっても県連を構え、2021年衆院選では比例復活ながら鈴木氏の議席を確保している。しかし、22年1月に田中氏が死去して以降は翌23年の統一地方選で県議会の議席を失うなど、選挙での苦戦が続いていた。
鈴木氏らが記者会見した11月30日、県連代表代行の小粥康弘横浜市議は記者団の取材に応じ、歴史を踏まえ「意見の違いがあれば党内で話し合い解消していくべきだ。離党という選択は違うと思う」と鈴木氏の姿勢に疑問を投げ掛け、本人からの説明を望んだ。県連はこの週末に話し合いの場を持つ予定という。