コロナ破たん、全国で8138件に 11月も月間200件超えのハイペース

「新型コロナウイルス」関連破たん【11月30日現在】

11月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が234件判明、全国で累計7,765件(倒産7,566件、弁護士一任・準備中199件)となった。件数は2022年9月以降、200件超えが続き、2022年の年間件数は前年(1,718件)から3割増の2,282件にのぼった。2023年に入っても増勢推移は継続し、11月までに2,922件発生。年間3,000件超えがほぼ確実な状況となっている。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計373件判明した。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で8,138件に達した。
国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.226%で500社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.398%、次いで福岡県の0.326%、宮城県の0.324%、大阪府の0.287%、富山県の0.267%。一方、最低は高知県の0.099%で、地域によってばらつきもある。
コロナ関連融資を利用した多くの企業が返済開始を迎えるなか、返済資金が捻出できずに事業継続を断念するケースが増えている。経済環境は正常化が進行する一方で、コロナ禍の後遺症を抱える企業は多く、コロナ関連破たんは一進一退しながらも引き続き同水準で推移する可能性が高い。


【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 300件以上は7都道府県 ~

都道府県別では、東京都が1,584件と全体の2割強(構成比20.3%)を占め、突出している。以下、大阪府751件、福岡県414件、愛知県390件、兵庫県352件、神奈川県325件、北海道321件、埼玉県257件と続く。
300件超えが7都道府県、200件~300件未満が1県、100件~200件未満も11府県に広がっている。一方、10件未満はゼロで、最少は鳥取県の17件。

【業種別】(負債1,000万円以上)~最多は飲⾷業の1,263件、建設業、アパレル関連が続く~

業種別では、コロナ禍での来店客の減少に加え、食材や光熱費高騰の負担も重い飲食業が最多で1,263件に及ぶ。客足は戻っても売上の回復に至らず、経営体力の消耗による破綻や、あきらめ型が多い。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が941件に達した。小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の551件。このほか、飲食業などの不振に引きずられた飲食料品卸売業が318件、食品製造が227件、扱い量の減少などが響いた貨物自動車運送業が216件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が215件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

負債額が判明した7,710件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の3,016件(構成比39.1%)、次いで1億円以上5億円未満が2,384件(同30.9%)、5千万円以上1億円未満が1,565件(同20.2%)、5億円以上10億円未満が379件(同4.9%)、10億円以上が366件(同4.7%)の順。
負債1億円未満が4,582件(同59.4%)と約6割を占める。一方、100億円以上の大型破たんも22件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した7,566件の形態別では、破産が6,849件(構成比90.5%)で最多。次いで取引停止処分が282件(同3.7%)、民事再生法が234件(同3.0%)、特別清算が173件、内整理が22件、会社更生法が6件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の9割超を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した7,570件の従業員数の合計は6万7,078人にのぼった。平均すると1社あたり約9人となる。
7,570件の内訳では従業員5人未満が4,520件(構成比59.7%)と、約6割を占めた。次いで、5人以上10人未満が1,444件(同19.0%)、10人以上20人未満が884件(同11.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、下半期も31件判明。2023年上半期は27件、下半期は現時点で34件判明し、増加傾向となっている。

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