ブギウギ第9週振りかえり・カカシみたいなワテ

歌い踊ることを心から愛するヒロインが、やがて戦後を明るく照らすスター歌手となるまでを描く連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK朝ドラ)。12月2日の放送では、「カカシみたいなワテ」と題する第9週(11月27日〜12月1日放送)を振りかえる。

演出の規則を守って歌うスズ子(趣里)(C)NHK

■ 舞台公演への規制で、三尺四方の枠で歌うスズ子

ヒロイン・スズ子(趣里)が、父・梅吉(柳葉敏郎)と東京で一緒に暮らし始めて1年。しかし、梅吉は亡き妻・ツヤ(水川あさみ)を失った悲しみが癒えず、酒浸りの毎日を過ごしていた。

一方、日中戦争が始まって3年が経った国内では、激化する戦争のため国民にぜいたくを禁止する法律が施行される。スズ子が所属する楽団「梅丸楽劇団」も時局に合わせて変わらざるをえなく、警察の指導のもとで派手な演目や演出などを取りやめることに。

日帝劇場にて、枠内に立ち本番を迎えるスズ子(趣里)(C)NHK

歌い方が軽薄だとされたスズ子も、三尺四方の枠のなかから動かずに歌うようにと指示されてしまう。警察が監視するなか舞台公演に臨むスズ子だったが、退屈する曲の様子を目にして、思わず枠の外から出て自由に動いて歌ってしまう。警察によって公演は中断され、スズ子は警察署に連行される。

警察の取り調べから解放されたスズ子は、公演が差し止められることは避けたいが、三尺四方の枠のなかだけで自分の歌を表現するのは難しいともどかしさを感じる。その矢先、同じく警察に目をつけられている歌手の茨田りつ子(菊地凛子)が、警察署で自身の信念を貫く姿を目にして、心が揺らぐ。

■ 弟子入り志願する小夜の登場、悪化する梅吉との関係

自身の現状に苦悩するスズ子だったが、そんなある日、楽屋に小林小夜(富田望生)という福島出身の女性が「弟子にしてほしい」と飛び込んでくる。スズ子は、ひとまず小夜の新しい下宿先が見つかるまでの間、面倒を見ることする。梅吉といつの間にか打ち解けあっていた小夜に、スズ子は梅吉の世話をするようにとお願いする。

梅吉と話す小林小夜(富田望生)(C)NHK

一方、楽団では、徴兵で人員はどんどん減っていく上に、警察の指導でますます演出が規制されていた。スズ子も相変わらず三尺四方の枠の中でおとなしく歌うことしかできず、客は退屈し、客足はどんどん減って空席が目立つようになっていた。

スズ子が沈んだ気持ちのまま家に帰ると、そこには宴会をして騒ぐ梅吉と小夜の姿があった。頭に血がのぼったスズ子はそのまま小夜を追い出し、母が亡くなって以来無気力な状態が続く梅吉とも口論になる。しかし、「しっかりして」と懇願するスズ子に対し、梅吉は「冷たいのう。小夜ちゃんの方がよっぽど娘みたいやった」と言い放つ。

■ 自分を貫くりつ子の歌う姿に、胸をうたれるスズ子

大喧嘩したスズ子と梅吉は、互いに口も聞かない状況が続く。さらに悪い状況は続き、スズ子や作曲家・羽鳥(草彅剛)の尽力もむなしく、ついに梅丸楽劇団は解散することに。失意のスズ子が帰宅すると、下宿先の女将・チズ(ふせえり)から、梅吉が喧嘩の末に逮捕されたことを知らされるのだった。

りつ子のステージを見つめるスズ子(趣里)(C)NHK

楽団が解散して数週間、スズ子は何をするでもなく日がな一日を過ごしていた。そんな時、スズ子は古巣の大阪に戻ってこないかと誘われるが、大阪でもかつてのように自由に歌うことはできないと知る。悩むスズ子は羽鳥(草彅剛)に相談するのだが、やはりなかなか答えが出ずにいた。そんなスズ子に、善一はりつ子のコンサートのチケットを差し出す。りつ子が自分の信念を貫いて懸命に歌う姿に、胸をうたれたスズ子はある決心をして・・・。

本作は、戦後「ブギの女王」として一世を風靡した歌手・笠置シヅ子さんをモデルに、歌の才能を開花させて上京したヒロインが、昭和を代表するスター歌手として激動の時代を生き抜いていく物語。

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