「宴会場が物置にコロナ前に戻れる保証があれば」“復活傾向”の忘年会シーズンなのに…予約を断る居酒屋 背景には人手不足が

2023年も残り1か月。この時期になると話題に上がるのが忘年会です。この年末は新型コロナが5類に移行して、忘年会は復活する傾向にあるようですが、飲食店側は期待と不安を抱えています。

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「乾杯、お疲れ様です」

アツアツの静岡おでんを楽しめる静岡市の居酒屋です。

<客>
「やっぱり解禁されて忘年会はいくつかありますね」
「たまにみなでワイワイできた方がちょっと楽しみにしている」
「普段しゃべれないことをいろいろ話ができるのはいいこと」

会社の忘年会の予定について、2022年と2023年の割合を比べたグラフをみると、2022年は「実施する」割合が31.4%だったのに対し、2023年は52.3%と半数を超えていて、回復傾向にあります。

「海ぼうず本店」でも、11月の半ばごろから予約が入り始めました。

<正悦 藤嶋慎太郎社長>
「これまで(2022年)は10人以下が多かったが、今年は15人とか20人の団体さんが目立つ感じがする」

12月はすでに金曜日と週末の予約が8割程埋まっていて、平日の集客にも期待できるといいます。

<正悦 藤嶋慎太郎社長>
「1年の締めくくりに、飲んで楽しくやってもらえたらと思っている」

12月、忘年会の盛り上がりが予想できる中、客の要望に十分にこたえられない飲食店もあります。静岡産のもつ鍋が人気の居酒屋では、せっかくの予約を断らざるを得ない状況です。

<駿河居酒屋 福助 高橋誠オーナー>
「ここが宴会場になってて、昔はふすまを入れて3部屋に。さらにもうひと部屋宴会場が小さな個室があったが、物置になっている」

需要があっても、客を受け入れられない理由が人手不足です。企業におけるパート・アルバイトの人手不足の割合は、1位が飲食店で約8割を占めています。

この居酒屋では、コロナ禍で3人の従業員が辞めていて、いまも人手が足りず、オーナー自らが厨房に立たざるを得ません。

<駿河居酒屋 福助 高橋誠オーナー>
「このまま、コロナ前の景気に完全に戻れる保証があれば、僕らもその体制を作っていかなければいけないと思っているが、なかなかそれが見えきれないからできないというのが現状」

せっかくのビジネスチャンスを不意にしかねない人手不足の問題。飲食店にとって、この年末は正念場になりそうです。

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