<ライブレポート>SHINeeの輝きが眩しすぎた5年ぶりツアー最終日、来るドーム公演の内容も自らネタバレ

今年9月から埼玉、大阪、名古屋、東京と全国4都市・8公演が行われたSHINeeの約5年ぶりの日本アリーナツアー【SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]】が、11月29日に東京・国立代々木競技場第一体育館にてファイナルを迎えた。

韓国デビュー15周年のメモリアルイヤーを駆け抜けてきたSHINeeは、2012年~2018年までに実に120以上の来日公演を行い、兵役期間とパンデミックで会えない時間があったが、変わらない人気と実力の高さを証明した。

遥か彼方からシグナルが届き、発信元である宇宙船が、ここ代々木にランディング。ステージ頭上には3人を乗せた宇宙船が浮かび、「東京会いたかった!」と「Chemistry」を歌いながら、ゆっくりとセンターステージへと前進していく。カメラ目線で決めていく3人がステージに降りると、マイクスタンドが用意され、〈SHINee is back〉のバックコーラスとともに久々の「Dream Girl」がスタート。シャヲル(ファンの愛称)の〈ナンデ?〉の掛け声もパーフェクトで、今日までに公演を重ねてきたことでパフォーマンスも一段と一体感が生まれた。「Heart Attack」では緻密に計算されたフォーメーションと3人の一寸もズレがないダンス、カメラサービスがノンストップで繰り広げられ、最後のテミンのハートに会場にいるシャヲル全員のハートが撃ち抜かれた。

今年6月発表の最新アルバム『HARD』から「Like It」では、ダンサーとペアになって、華麗なステップを披露する3人ーー上体と手足をなめらかに動かすシルクのようなテミン、ポップコーンのように弾けるような躍動感があるキー、そして人一倍動きが大きく、重心のある迫力なダンスが目を引くミンホ。客席がブルーオーシャンに変わった「Atlantis」でも3人の個性は踊りに表れる。表情も1曲の中でコロコロ変えて、その上、愛嬌サービスも欠かさないため、見逃すところがなく、追う目は忙しかった。そのおかげで見どころがぎゅっと詰まったSHINee Worldに深くどっぷりと浸かることもできた。

「こんばんは、輝くSHINeeです!」と声を合わせて挨拶する3人には、その何倍もの歓声が返ってくる。「素敵な夜ですね。僕の名前を言ってみん?」(「テミン!!」と元気に答えるシャヲル)、「東京、こんばんは。ミンホです! 久しぶりです! 最後まで応援よろしくお願いします」、「キーです。アリーナツアーとしては今日が最後になりますが、最後の最後まで楽しみましょう!」と、会場を盛り上げていく。

国立代々木第一体育館は、SHINeeが2010年12月に初めて来日単独ライブと日本デビュー発表を実施した思い出の場所。2017年4月の【SHINee WORLD 2017 ~FIVE~】以来、約6年7か月ぶりに再び同じステージに立った3人は、ここ数年であけた穴を、前作『Don’t Call Me』&ニュー・アルバムの収録曲、そして定番人気曲をたっぷりと聞かせた。MCは相変わらず3人のボケツッコミが満載で、それもSHINeeのライブの楽しみの一つでもある。

「Sweet Misery」の美しい以外の何物でもない甘美なステージ、強い赤い照明にキーの鋭い視線と英語ラップで始まった「CØDE」の後には、イスと変芸自在のセンターステージを使った「Good Evening」で大切な人に届ける思いを最大限に表現。天に向かって両指を差し、眼差しを送るミンホの姿があった。

ストリート系の衣装にチェンジして、ここ最近のSHINeeを象徴するハードモードのステージが幕開け。「Don't Call Me (Japanese Ver.)」はパイロを用いることで、歪んだ愛を止めるよう警告するこのシャープなヒップホップ・ナンバーを効果的に演出した。妖艶さに満ちたレゲエ「Body Rhythm」では、このツアーの代名詞にもなっているミンホとテミンの隠すつもりもない腹筋をカメラがとらえる度に悲鳴に近い歓声が巻き起こる。感情のなすまま身を委ねてもらうことを歌うこの曲のパフォーマンスは、その意味でも大正解だった。オーディエンスの熱が一気に上がったところで、最新アルバムからソリッドなビートが特徴的な「JUICE」がスタート。気迫のこもったテミンのダンス、曲と同様に堂々としたミンホ、そしてキーのスパイスの効いた歌声が今でも脳裏に焼き付いている。

気合の入ったハードなナンバーの連続に息が上がる3人。「曲が終わるごとにこういう(休憩)時間があったほうがいいって言ったじゃん。もう僕たち18歳じゃないんだよ」と弱音を吐くキーに対して、体力お化けのミンホの「このままがいい」とケロッとした姿がなんともおかしかった。

そして、度々スポ(スポイラーの略でネタバレ)をしたがるSHINee。「ネタバレしてもいい?」と突拍子もないテミンの宣言に、何を暴露するつもりなのか把握できていない兄組は戸惑い、ステージ上で緊急会議。テミンの完全な見切り発車だったようで、「スポほどのものでもなんでもないです! 『来年も(僕たち)歌手です』っていうレベルの当たり前のことです」とキーが釈明する始末に会場は爆笑の渦に包まれた。

ネタバレに失敗したテミンの「僕たちSHINeeが年末に歌うかもしれない曲です」という、これまたおかしな曲紹介で始まった「Everybody」では、ビリビリと電力を貯めて起き上がるユニークなロボットダンスがここ代々木で久々に再現。「View」のミンホのある仕草も、盛大な “SHINee”コールも、どの瞬間も、シャヲル達を当時の思い出の世界に引きこんだ。

トロッコに乗り込んだ3人は「Downtown Baby」と「The Feeling」でオーディエンスに手を伸ばせば届きそうなところにまで近づき、ハッピーな残り香を振りまいていく。気持ちが高まったのか、ぴょんぴょんとはしゃぐ3人はまるでわんぱく坊やで、ミンホが脱いだジャケットを客席に放り投げてプレゼントしてしまうという大サービスまであった。

5人のアニメで再現された「1 of 1」の特別映像は、まるですぐそこにいるかのようなクオリティで、またも思い出を噛み締める時間に。ツイードジャケットにハイブランドのジュエリーで貴公子ルックに戻ったキー、ミンホ、テミンは、テンポダウンした「Replay」で美声を響かせ、オンユとジョンヒョンのボーカルも入った「Love Like Oxygen」、ダイヤのリングポーズで埋め尽くされた「Diamond Sky」を通して、シャヲルとの変わらぬ絆を確かめた。シャヲルが高らかに手をあげている光景はしっかり3人の目にも届き、グループを代表して「東京ありがとう!」とキーが感謝を叫んだ。

トロッコやペンライト、風船といったライブ演出を中心にトークを繰り広げるも、上の空の2人に気づいたキーは「みんなバラバラに分かれて話したほうがいいんじゃない。僕がマイクで話しても誰も話を聞いてくれてないじゃん!」とお説教モード。「激しい曲や盛り上がる曲をお届けしましたが、落ち着いたSHINeeも魅力的ですよね」と仕事モードに切り替えたテミンに喝采が送られる。仲直りし、替え歌やセンターステージの床でふざけた後は、「ここからは真面目なSHINeeに戻りましょう。皆さんも一緒に歌えるバラードセクションで、僕たちの歌声を聴いてください」(キー)と、オレンジライトが温かい夕陽のような「Kind」、「Selene 6.23」「An Ode To You」を届け、最後はボックスに立つ3人の感情が爆発した「An Encore」で本編は幕を閉じた。

“SHINee フーフー”が鳴り響く中、暗転して、最新アルバムのリード曲「HARD」でアンコールがスタート。ミュージック・ビデオからそのまま出てきたかのようなルックで、アップダウンをキメる3人とファンの掛け声はバッチリだった。

アンコールを求めるコールに感心した3人だったが、「(来年2月に控える)ドームではアンコールのときに、皆さんのきれいな歌で呼んでほしいな。お願いします~」とテミンからおねだりが。「今までやったことないけど、いいと思う。サプライズの紙の裏に歌詞を書いておけば皆さんも歌えると思う」という実現的なアイデアがキーから出たため、2月のドーム公演に参加する方はぜひ開場中に練習してみては?

そのドーム公演に向けて準備を進めているというSHINee。セットリストは半分以上決まっており、今回のアリーナツアーで披露されなかった過去の曲も予定しているという。「一曲だけスポします」と、セトリには「Lucifer」が入っていることが明かされた。

「皆さんの声が聞きたいです」と〈Oh ohh〉で会場を温めた3人は再びトロッコに乗り、「Hitchhiking」「Runaway」でハッピータイムを届けながら、ファンの要望に丁寧に応えていく。

恒例のカメラのドアップタイムを経て、最後の挨拶へ。テミンは「皆さんのおかげで安全に完走することができましたし、またこうして皆さんの前に立つことができました。これからSHINeeが歩んでいく姿を応援してください。皆さんのそばにSHINeeはずっといるつもりです。他の男のところに行かれたら困るんですけど……そういうつもり? 悩んでる? もう行っちゃった? ちょっと~。SHINeeと一緒に大切な思い出を作っていきましょう。新しい音楽やステージでお返しできるように頑張ります!」、ミンホは「今日もたくさん来てくださってありがとうございました。今日も特別な思い出を作ることができて感動しました。皆さんのおかげで、僕は今日世界で一番幸せな男です。いつも皆さんが僕の希望です。また会いましょう!」とハートを弓矢で撃ち、最後はキーが「皆さん楽しかったですか? 僕も本当に楽しかったです。会えなかった時間があったじゃないですか。その間も日本のファンの皆さんから『またツアーで回る姿を見たい』と言ってくださって、気づいたらここに立ってて、今日がもうアリーナツアーの最後です。(コロナ前の)自然に戻った気がします。ドーム公演までにまだ発表していない日本の活動もありますし、昔と何も変わらない活動をしていきたいと思っています。ツアーが終わって寂しいとは思わずに、まだ何が残っているかを楽しみにしてほしいです。今日は一日ありがとうございました。またすぐ会いましょう!」と嬉しいお知らせをご自慢(?)のハイキックとともに届けてくれた。

最後に3人は「グー!」とサムズアップを3つ重ねて、「東京最高ー! 以上、輝くSHINeeでした!」と最後まではつらつとした姿を届け、年を重ねても最高を更新していく3人に会場は笑顔と感謝の気持ちでいっぱいに。あっという間に来るであろう2月のドーム公演では、どんな最高が待っているのか、今から楽しみだ。

Text by Mariko Ikitake
Photos by 田中聖太郎

◎セットリスト
【SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]】
※2023年11月29日(水)公演
1. Chemistry
2. Dream Girl (Japanese Ver.)
3. Heart Attack
4. Like It
5. Atlantis
6. Sweet Misery
7. CØDE
8. Good Evening
9. Don't Call Me (Japanese Ver.)
10. Body Rhythm
11. JUICE
12. Everybody
13. View
14. Downtown Baby
15. The Feeling
16. Replay
17. Love Like Oxygen
18. Diamond Sky
19. Kind
20. Selene 6.23
21. An Ode To You
22. An Encore
<アンコール>
1. HARD
2. Hitchhiking
3. Runaway

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