年間表彰式『SUPER GT HEROES』開催。王者坪井「宮田選手には、日本のレベルの高さを世界で証明して欲しい」

 12月3日、東京都目黒区のウェスティンホテル東京で2023年のスーパーGTに参戦したチームやドライバー、関係者が集まる年間表彰式『SUPER GT HEROES』が開催され、落ち着いた雰囲気のなかで表彰が行われた。

 SUPER GT HEROESは、スーパーGTのステータス向上および、「スーパーGTに関わるすべての人たちがヒーロー」というコンセプトのもと2015年から開催されてきた年間表彰式。2020年と2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催が見送られたが、2022年には再開された。2023年も無事に恒例の表彰式として執り行われ、スーツ姿に身を装ったスーパーGT関係者たちが集った。

 会場となったウェスティンホテル東京には、GT500チャンピオンマシンのau TOM’S GR Supra、GT300チャンピオンの埼玉トヨペットGB GR Supra GTが展示され、モータースポーツファンおなじみのピエール北川さんと竹内志麻さんの司会進行のもとで2023年のSUPER GT HEROESが開幕した。

 GTアソシエイション坂東正明代表のあいさつから式は開始。坂東代表は「今年一年はサーキットに来ていただいたお客様の更なる満足度の向上のためにいろいろな努力をしました。また大きな事故もありましたが、オーガナイザーやオフィシャル、チームなどの参画していただいている皆様とともにさらなる安全性の向上を求め、日本のモータースポーツの核として今後も取り組み続けていきたいと思います」と述べた。

式の挨拶を述べるGTアソシエイション坂東正明代表

 その後、壇上に上がったスーパーGTのタイトルスポンサーである株式会社オートバックスセブン取締役会長の小林喜夫巳氏による乾杯の音頭が取られた。続いて、2023年シーズンを支えたスポンサーや協賛企業の表彰、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟会長の古屋圭司氏、幹事長代理の大岡敏孝氏、事務局長の山本左近氏によるの挨拶が行われた。

 しばらくの間料理を楽しみながらの歓談を経て、まずはFIA-F4の表彰が行われた。チームランキング1位に輝いたTGR-DC Racing Schoolの福木哲也監督、シリーズチャンピオンを獲得した小林利徠斗は欠席となったが、2位の中村仁、3位の三井優介が登壇。インディペンデントクラス王者の藤原誠は欠席となり、2位の仲尾恵史、3位の齋藤真紀雄が登壇した。

 続いてGT300クラス、GT500クラスの表彰に移り、両クラスのチームランキングトップ3、そしてドライバーズランキングトップ3に各種トロフィーが手渡され、静岡県南伊豆産の伊勢エビも送られた。また、各クラスのチャンピオンドライバーにはクストスのドライバーの名入りチャンピオンウォッチが進呈されている。

FIA-F4のトロフィー贈呈式
GT500クラスのチャンピオントロフィーを受け取った坪井翔(au TOM’S GR Supra)
GT300クラスのチャンピオントロフィーを受け取った吉田広樹/川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)

 表彰を終えると、式典に参加したGT300全ドライバーが壇上に登壇し、チャンピオンの吉田広樹と川合孝汰が代表して挨拶を述べた。

 吉田は「チームにとっては7年目、自分にとっては13年目でチャンピオンを獲得することができました。これまで、うまくいかないこともたくさんありましたが、普段は埼玉トヨペットという販売店として働いているメンバーたち皆が、色々なプレッシャーのなかで緊張感を持って取り組んでくれて、ここまでたどり着くことができて嬉しく思います」と、ともにチャンピオンを獲得したチームメンバーへの感謝を述べた。

 川合は「いろいろな方々の多大なる協力のもと、スーパーGTという素敵なレースに出れたことをとても感謝しています。FIA F4に参戦していた4年前とは違い、このような場所に立てるようになったのは、自分を拾っていただいた埼玉トヨペットさんのおかげです。もっとスーパーGT自体が盛り上がってほしいですし、今後は賞金も大きくなっていったりなど、そんな夢を描けるような成長にこれからも力添えできればと思います」とシリーズの成長に期待し努力したいと語った。

GT300クラスに参戦したドライバーたちと代表として挨拶する吉田広樹

 続いて、参加したGT500全ドライバーが登壇。チャンピオンの坪井翔が代表して挨拶を述べた。

「このような素敵な会にお招きいただき、ありがとうございます。自分が2年前にチャンピオンになったときには、この会が開かれることはなかったので2年越しにこの場に立てて嬉しく思います。本日は欠席となってしまった宮田選手には、日本のスーパーGTのレベルの高さを世界で証明して欲しいと思っています。そして我々はスーパーGTをさらにレベルの高いものにして、海外の選手がスーパーGTに出たいと言ってくれるようなレースにしたいと思います」

 なお坪井のパートナーであり、自身初のGT500チャンピオンとなった宮田莉朋はFIA F2テスト参加のため会は欠席となり、ビデオメッセージで挨拶を述べた。

「2023年シーズンもたくさんの応援、ありがとうございました。僕はFIA F2のテストのため出席することはできませんが、僕の分も楽しんでくれたらと思います。僕はFIA F2のテストを頑張って来ます」

GT500クラスに参戦したドライバー代表として挨拶する坪井翔

 最後には、GTアソシエイションのスタッフたちとともに再び壇上に上がった坂東代表が挨拶。モータースポーツ全体の抱える環境問題に触れながら、これからもスーパーGTをはじめとしたモータースポーツ全体の発展に努めていきたいとしてその想いを語った。

「我々は、環境問題についてモータースポーツ全体で向き合っていかなければなりません。GTAとして、2030年までにシリーズ全体のCO2排出量を半減することを目標とした、『スーパーGTグリーンプロジェクト2030』というロードマップを作っています。今年はその取り組みの最初の年でした。このロードマップのなかから今できることをひとつずつ進め、来年はさらにその取り組みを強化していきたいと考えています」

「そのなかで、化石燃料を一切使用しない『Eフューエル』と呼ばれるものを、国産化するということを目指します。再生材料を利用したタイヤなどを含めたものを利用しながら2030年までにこのロードマップを追求し、胸を張ってカーボンニュートラルであると言える状況を目指して取り組んでいきたいと思います」

「このスーパーGTに参画されている方々の生み出す経済効果は、非常に大きなものがあると思います。皆でできることをひとつひとつ取り組み、モータースポーツを支える根幹としての自動車産業界がみんなで努力をして参りたいです」

「その未来として必ず、エキゾーストノートが出せる世界を、文化を我々が作り出せるよう邁進していきたいと思います」と述べたのち、会場は大きな拍手に包まれ、2023年の『SUPER GT HEROS』および今シーズンのSUPER GTは幕を閉じた。

ロビーに展示された両クラスのチャンピオンマシン
『SUPER GT HEROES』で表彰を受けたGT500クラスランキングトップ3のドライバーたち
『SUPER GT HEROES』で表彰を受けたGT300クラスランキングトップ3のドライバーたち
GT300、GT500の両クラスのシリーズチャンピオンとなったチームには賞金1000万円が贈られた
登壇した自由民主党モータースポーツ振興議員連盟会長の古屋圭司氏(中)、幹事長代理の大岡敏孝氏(右)、事務局長の山本左近氏(左)
FIA-F4のシリーズチャンピオンを獲得した小林利徠斗の代理でトロフィーを受け取る福木哲也監督(TGR-DC Racing School)
2023年スーパーGTシリーズに参加した全エントラントの代表として挨拶するGTエントラント協会の金曽裕人会長
HOPPY team TSUCHIYAにはZF AWARDの特別賞が贈られた

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