<レスリング>【2023年世界選手権・レビュー(追加)】「私が狂っていたら、今とは違う結果になったと思います」…男子グレコローマン87kg級/優勝選手・表彰式・闘いのあと

(2023年9月16~24日、セルビア・ベオグラード)


※決勝に誤審があったとのUWWの決定により、アリ・ジェンギズ(トルコ)とともに両者1位へ変更となりましたので、追加します(関連記事

【男子グレコローマン87kg級】
ダヴィッド・ロソンチ(Losonczi, David=ハンガリー)

23歳。2017年から国際舞台で闘い、カデット(現U17)時代は目立った成績はないが、2019年に欧州ジュニア(現U20)選手権で2位。2021年にU23世界選手権2位と飛躍した。

2022年にイタリアとポーランドの国際大会で優勝し、世界選手権で3位へ躍進。2023年もデンマークの国際大会で2位、ハンガリーの国際大会(イムレ・ポリヤク&ヤノス・バルガ国際大会)で優勝。ハンガリーでの大会では、欧州3位の選手を含めた5試合を41-0のスコアで勝ち抜いて実力を見せた。世界選手権でも準決勝までの4試合を総得失点32-1(テクニカルスペリオリティ勝ち3試合)で勝ち上がった。


■ダヴィッド・ロソンチの話(優勝決定後)「(試合後は)私は結果を受け入れ、将来に集中しました。UWWがそのような決定(フォール勝ちを認める)を下すかどうか、少しも自信がありませんでした。この状況(両者優勝)は私にとって大きな驚きです。私が覚えている限り、このようなことは一度もなかったからです。

(ハンガリー協会から「フェアプレー賞」を授与され)チャンピオンは、勝ったときだけチャンピオンらしく振るまってはなりません。私はマット上での結果をに冷静に受け入れました。もし私が狂っていたら、今とは違う結果になったと思います。UWWの決定は、レスリング界全体にとっての模範となり、若者たちも、これが起こりうること、真実が勝つ可能性があることを理解してくれると思います。どんな状況でも、決して希望とモチベーションを失わず、スポーツマンらしく行動してほしいと思います」

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■ロソンチに「フェアプレー賞」を授与したハンガリー・レスリング協会「ロソンチは、審判によって世界チャンピオンのタイトルを奪われたと知っていたにもかかわらず、異議を唱えず、大騒ぎせず、文句を言いませんででした。ジェンギズが表彰台の最上段に上がると、ハンガリー応援団から不快感を表す声が出ましたが、彼はを応援団を押さえました。すばらしいことです」

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■アリ・ジェンギズ(トルコ)の話「ハンガリー・レスリング協会がUWWに判定の見直しを要請していたことは知らなかった。UWWの決定は尊重します、ロソンチに対しては、何の悪い感情も持っていません。祝福します。しかし、私には闘う意思があります。自分の間違いに取り組み、決意を固めています。なぜなら、パリで夢を達成したいからです。オリンピック・チャンピオンになるために全力を尽くします」


《1回戦~決勝の成績》=トーナメント表
決 勝 ●[7-8] Cengiz, Ali(トルコ)=フォールを見逃した誤審と判定される
準決勝 ○[テクニカルスペリオリティ、2:13=10-0] Novikov, Semen Sergeevich(ブルガリア)
4回戦 ○[6-1]Maskevich, Kiril(AIN=ベラルーシ)
3回戦 ○[テクニカルスペリオリティ、4:01=8-0]Abbasov, Islam(アゼルバイジャン)
2回戦 ○[テクニカルスペリオリティ、3:51=8-0]Salidinov, Azat(キルギス)
1回戦 BYE


【表彰式】

[1]Cengiz, Ali(トルコ)
[1]Losonczi, David(ハンガリー)
[3]Belenyuk, Zhan(ウクライナ)
[3]Novikov, Semen Sergeevich(ブルガリア)
[5]★Tursynov, Nursultan(カザフスタン)
[5]Abbasov, Islam(アゼルバイジャン)

※オリンピック出場枠は1~3位と、★印の5位選手が獲得

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