鉄道維持費、負担の意向 北鉄石川線存続へ金沢市長

金沢市などが存続に向けた支援策を検討している北鉄石川線=金沢市内

  ●「みなし上下分離」採用を 24年1月に計画まとめ/白山、野々市も賛同

 金沢市の村山卓市長は1日、赤字が続く北陸鉄道石川線の存続に向けた支援策として、鉄道施設の維持経費の一部を沿線自治体が負担する「みなし上下分離方式」を採用したいとの意向を示した。同日開会した市議会12月定例会本会議で表明した。沿線の白山、野々市市も賛同。同方式を軸に北鉄との協議を進め、来年1月に計画をまとめる。

 みなし上下分離方式は、所有権が北鉄のままで、線路や架線などを維持するために必要なコストを自治体が負担する仕組み。北鉄は鉄道施設を自治体に譲渡し、交通事業者が運行を担う「公設型上下分離方式」を求めているが、金沢市はみなし上下分離の方が公設型に比べて自治体の負担が抑えられるとみている。国の支援制度も迅速に活用できると考え、採用を決めた。

 石川線については、北鉄がコロナ禍や燃料価格高騰に伴い、高速バスなどの収益で赤字の鉄道を補塡(ほてん)し、維持する経営スタイルが成立しなくなったと判断。自社単独での運行継続が難しいとして沿線自治体に支援を要請していた。

 金沢、白山、野々市の沿線3市と内灘町は8月の会合で鉄道を存続させる方針を決定し、行政の支援のあり方が焦点の一つとなっている。今後はどの程度の維持費を負担するのかを協議する。県の支援も求める。

  ●「北鉄も応分負担を」

 村山市長は本会議後の会見で「交通事業者にも応分の負担をしてもらう。北鉄には常に行政に助けを求めるのではなく、サービス水準の向上を含めて頑張ってほしい」と求めた。

 白山市の田村敏和市長は「金沢市の方針と同じ考え方であり、採用されるように足並みをそろえていく。石川線の存続に向けては、引き続き利用者の声に耳を傾けながら丁寧に対応したい」と話した。

 野々市市の粟貴章市長は「沿線自治体にとって負担を含めて一番望ましい方法だと思っていた。今後は沿線が一つになって計画づくりに加え、国と県の支援を得られるよう取り組まなければならない」と述べた。

 北鉄は石川線、浅野川線の鉄道事業で行政の支援を求めている。浅野川線の沿線である内灘町の担当者は「まだ協議が行われている最中であり、コメントする段階ではない」とした。

  ●「公設型」求める 北鉄社長

 一方で、北鉄の宮岸武司社長は公設型上下分離方式を継続して求めていくとした上で「持続的な運行を確実なものとするため、より多くの理解が得られる方策となるよう、引き続き協議していく」とコメントした。

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