高齢者虐待把握へ県会議 年内に、市町職員対象

  ●かほく、穴水の問題で対策

  ●本紙報道受け

 かほく市の高齢者向けグループホームで入居者の食事を減らす虐待が発覚したことを受け、石川県は虐待の実態を把握するため、市町を対象にした対策会議を年内に開催する。グループホームを巡っては、穴水町が施設に対する運営指導を長期間行っていなかったことも北國新聞社の報道で明らかになった。一連の事態を重く見た県が緊急の対策に乗り出した形で、虐待を見逃さない体制づくりを急ぐ。

 県の緊急会議は、虐待調査に当たる市町の職員に対し、県内で実際に発生した虐待事例を説明し、通報を受けた場合の対応、介護従事者や利用者への聞き取りの方法を指導する。また、市町に対して、改めて運営指導の徹底を求める。

 虐待かどうかの判断は市町が担うことになっているが、弁護士や社会福祉士、精神保健福祉士でつくる県の専門チームに相談できることも周知する。

 かほく市は11月21日、入居する認知症高齢者の食事を意図的に減らす虐待を行っていたとして、同市宇野気のグループホーム「一梅縁(かずうめえん)」の事業指定を取り消す行政処分を行った。県内で虐待による指定取り消しは初めて。

 この処分を受け、北國新聞社が取材したところ、県内では穴水町以外にも全施設への運営指導が十分でない自治体があり、人手不足などの理由で行政による監視の目が行き届いていない現状が浮き彫りとなった。

 運営指導ではサービスが適正に提供されているか、介護報酬の請求に不正はないかを確かめる。グループホームや地域密着型の特別養護老人ホームは3年に1回以上、通所型施設は6年に1回以上が望ましいとされる。

 県長寿福祉課の担当者は、自治体による運営指導は、適正な運営を確かめるために行うものとした上で、「虐待があった場合には絶対に見逃さないよう、市町の担当職員の意識を高めたい」と話した。

  ●穴水町、年度内に指導

 穴水町は1日、町議会全員協議会で、運営指導について今年度内に実施することを示した。

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