「毎日不安で眠れなかった」永井大“3週間前に代役で主演”難局挑戦を支えた家族の言葉

「不安はいっぱいだったですけど、本番前にはそれもなくなって、あとはやるしなかないなと。終わった瞬間はほっとしましたが、明日も明後日もあるしと思っていました」

宅間孝行氏(53)が作・演出を手掛けるタクフェス第11弾「晩餐」。その大阪公演初日の感想を明かすのは、主演を務める永井大(45)だ。

「晩餐」はもともと石黒英雄(34)が主演を務め、10月7日に埼玉で開演していた。だが10月15日の仙台公演後に石黒の胸部に疲労骨折が見つかったため降板し、11月16日にスタートした大阪公演では永井が主演を引き継いでいた。

今回の主演抜擢の舞台裏を永井は明かす。

「10月25日か26日ごろにマネージャーから連絡をいただきました。大阪公演まで1カ月弱ほど時間があって、急遽伝えられたときはどの役かもわかりませんでした。宅間さんがやっていらっしゃるのは知っていたのですが、この話をいただいいて、『マジですか? やらせてください』とは言いましたが、『ところで役はどこですか?』と聞いたら主役と言われて、『え?』と驚きました。日程的にどうなのかということが頭をよぎったのですが、それよりもやらせていただきたいという気持ちが強くて『やります』と。それがスタートでした」

出演を決意した時点で公演の約3週間前。それからは息もつかせぬ日々だったようだ。

「10月末に台本をデータで送っていただいて、2時間半弱ある舞台なのでけっこうな量がありました。10月31日に正式に主演を務めることが決まって11月2日に発表するとと言われました。その数日前には『今だったらやっぱり無理ですと言えるかな』と少し思っていました。そのくらいセリフの量が多く、かけあいもあって、テンポも速いしのでどうしようかなと。毎日頭の中で舞台のことばかり考えてしまって、不安のあまり2時間くらいしか眠れませんでした。でも最後は“やるしかないな”と覚悟を決めました。

それからは怒涛でしたね。11月4日から稽古が始まり、ヒロインの方と「はじめまして」の挨拶をさせていただいて。そこから全員とお会いできたのは11月9日でした。15日に大阪に入って初めて、物を使った稽古をして、それまでは舞台で使う小道具は劇場から劇場に送られていたので、エアで稽古していたんです。衣装合わせはありませんでした。幸い石黒さんと衣装のサイズが同じくらいだったので」

同公演は、“幼いころ亡くなった母に会うため、おっさんとおばはんが60年後の未来からタイムマシンでやってくる”という家族愛がテーマの物語。’14年に女優の中越典子(43)と結婚し、’17年に長男、’18年に長女が生まれている永井にとって、家族の存在は支えになっているようだ。

「今回の台本の最初のページに僕は“絶対にできる!!”と書いたんですけど、そのとなりに長男が“パパならできる”と書いてくれて、長女も“できる”と。さらに上のほうに妻も“できる”と書いてくれて、台本を広げるたびにこれを見て稽古に臨んでました。

子供はけっこう好きな方だったんですけど、自分の子供となると格別というか。毎日おむつかえたりミルクあげたりして時間を共にしているうちに愛情が芽生えてきて、立って歩くようになると愛おしさが、それこそ“目に入れても痛くない”と言いますがその通りですね。この子たちを育てあげなくてはならないという使命感もありますし。

家族は大切なチームであり仲間です。この経験があるから、今回の役作りの助けになっていると思います。親になった経験があるから自分の中で演じやすい部分もありますね。人を愛して結婚したいという気持ちになったことを経験していますし、そういう感情的な部分は違うかなと」

12月に名古屋公演と東京公演を控える永井。最後に見どころを語ってもらった。

「前半はふざけて楽しい笑える場面が多いのですが、中盤から後半にむけて涙するようなお話しになっているので、後半へむけての出演者の演技を観てほしいです。同じ作品の中でも別の作品を観ている感じがすると思います」

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