メルセデスのルイス・ハミルトンは、レッドブルが開発においてライバルたちより優位にいることは、2024年に向けて“間違いなく懸念すべきこと”だと述べている。特にレッドブルは8月以降はマシンに触れてすらいないのだ。
ハミルトンにとってF1最終戦アブダビGPは、メルセデスの不安定なパフォーマンスと苦戦、そして7度の世界チャンピオンである自身がふたたび連続未勝利に陥っていることが目立つ、不満足なシーズンの不満足な終わりだった。ハミルトンはヤス・マリーナ・サーキットでのレースを9位という低い順位につけてシーズンを終えた。ドライバーズ選手権では3位となり、チームメイトのジョージ・ラッセルよりも5つ上のポジションで彼に59ポイント差をつけた。
しかし今年ラッセルより優勢だったことは、103回のグランプリ優勝経験を持つハミルトンにとって、わずかな慰めと安堵に過ぎないのだろうか? F1のシーズン最終戦の後の気分について尋ねられたハミルトンは、「あまりよくない」と答えた。
「9位で終えたばかりだし、本当にひどいレースが2回あったところだ(ラスベガスGPでは7位)」
「レッドブルは(後続と)17秒差で優勝した。彼らは8月以降マシンに触っていないのに。だから彼らが来年どの位置にいるか大方予想がつくだろう……僕はレースの間ずっと遅かった」
メルセデスが困難なシーズンから多くのことを学び、それが2024年に役立つことを期待している一方で、ハミルトンは個人的な成長や洞察が限られていたシーズンを振り返った。
「全体的にあまりいい年ではなかった」とハミルトンは『Sky F1』に語った。
「だから今年から得られるものはあまりない。僕は何とかやったという事実……それくらいだ」
「レッドブルは8月以降はマシン開発すらしていない。これは間違いなく懸念すべきことだ」
「でも僕たちはマシンについて多くのことを学んだ。あとはチーム次第だ。彼らは何をする必要があるかわかっている。トップに戻れるかどうかは、そのうちわかるだろう」
メルセデスは運命を好転させるために、この冬にあらゆる手段を講じると繰り返し述べてきた。しかしチーム代表のトト・ウォルフは、レッドブルとの差を埋めるには難題がもたらされるだろうと警告している。
「今日のような日に(コンストラクターズ選手権で)2位になったということは、1位で勝てなかったことを再認識させられる」とウォルフは述べた。
「我々は勇気を持って敗北を認める必要がある。このことに謙虚になり、今日をよい日だと捉えなければならない」
「それでも、レッドブルに追いつくためには登るべきエベレストが立ちはだかっている。マクラーレンが来年トップ集団に加わることを私は確信している。もしかするとアストンマーティンも、そして我々が全力で手を尽くさなかったら他のチームも加わるだろう。ブリックスワースとブラックリーではあらゆる手段を講じているところだ」
「2位であることを思い出すのは厳しいことだが、これはスターを目指して復活するための絶好の機会でもある」
メルセデスの2024年に向けたモチベーションにある程度の刺激を与えているのは、シーズン序盤にアストンマーティンが、そして今年7月のオーストリアGPからはマクラーレンが見せた、傑出したパフォーマンスだ。
「レッドブルはこれらのレギュレーションの下、2022年に大きなアドバンテージとともにスタートし、それを維持することができた」とウォルフは説明した。
「エンジニアリング面とドライバーによる彼らの業績には大きな敬意を払う必要がある。現行のレギュレーションの下で彼らを打ち負かすには、不利な状況にあることは明らかだ」
「同時に、マクラーレンが(オーストリアでの)アップデートでラップタイムを1秒短縮したこと、アルファタウリが(シーズン)終盤に速くなったこと、そして冬の間のアストンマーティンのケースを目にしてきた。劇的にさらなるパフォーマンスを解き放つ鍵はある」
「我々は、このマシンにはタイトルを争うのに十分な力がないという率直な評価を下したと思う。春には、来年は振り出しに戻って何か新しいことを考え出さなければならないという決断を下した。しかし我々の前にはエベレストがある」