責任能力争点に…川越ネットカフェ立てこもりで初公判 被告の男、起訴内容認める 人質の女性にけが負わす

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 昨年6月、埼玉県川越市内のインターネットカフェで女性従業員を人質に立てこもり、けがを負わせたなどとして逮捕監禁致傷などの罪に問われた住所不定、無職の男(43)の裁判員裁判の初公判が1日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。男は「特に何もない。認めます」と起訴内容を認めた。判決は13日に言い渡される。

 冒頭陳述で検察側は、犯行直前に購入したカッターナイフで女性店員に対して「殺すぞ」などと脅したとして「計画的で悪質極まりない」「規範意識の鈍麻が著しく再犯の可能性が高い」と主張。責任能力については「疑う余地がない」とした。

 一方弁護側は、男は当初金融機関への立てこもりを計画していたが、所持金が尽きてから入店した犯行現場のインターネットカフェの構造上、料金を払わずに逃走することが難しく、計画を大きく変え犯行に及んだとした上で「(男は)人格障害を持っている可能性があり、その程度によっては責任能力に影響する可能性がある」とした。

 起訴状などによると、男は昨年6月21日、川越市内のインターネットカフェにカッターナイフと包丁などを所持して来店。清掃作業をしていた同店の女性従業員に対してカッターナイフを示し、同日午後9時50分ごろから翌22日の午前3時17分ごろまでの間、個室内に監禁して両手首を縛ったり顔面を殴るなどの暴行を加え、全治7日間のけがを負わせたとされる。

 男被告は2012年、愛知県内の信用金庫で立てこもり事件を起こしたとして、昨年4月まで服役し、出所していた。

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