脱炭素、企業の調査支援 茨城県、費用補助 新エネ化促す

茨城県庁=水戸市笠原町

温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」実現を目指し、茨城県は企業による脱炭素事業推進のための調査費用を支援する。新エネルギー導入やサプライチェーン(供給網)を構築する事業を対象に、設備投資や採算性などを試算・計画する経費を補助していく。2050年の目標達成へ向け、企業の脱炭素化を後押しする。

県は21年度、官民連携の「いばらきカーボンニュートラル産業拠点創出推進協議会」(会長・大井川和彦知事)を発足。臨海部のエネルギー需要を踏まえ、茨城、鹿島両港のクリーンエネルギー拠点化へ向けた計画を進めることで港湾の競争力強化を目指している。

支援するのは、燃焼時に二酸化炭素(CO2)発生のない水素や燃料アンモニアなどの次世代エネルギー導入や、供給網を構築する事業推進のための調査費用。燃料貯蔵タンクやパイプライン設置を中心とした設備投資、採算性調査などの費用を補助し、将来的な事業化の可能性を探る取り組みを促す。

CO2排出削減につながる低炭素燃料への転換や次世代エネルギーの導入など、設備新設への調査費も支援する。複数の企業による共同整備も視野に入れる。

製鉄事業者による工場設備の低炭素化も見据え、高炉やコークス炉などの設備改修によりCO2排出量を削減する調査費も対象。排出したCO2を気体から分離し地中深くに貯留する「CCS」技術や、貯留したCO2を活用する技術開発費なども支援する。

対象は県内に拠点を置く事業者で、調査費用の3分の2を補助する。1事業当たりの上限額は1500万円で、3千万円の予算額に達するまで受け付ける。25日まで。

国はCO2の排出量について、13年比で30年に46%削減、50年にゼロとする目標を掲げている。茨城県のCO2の排出量は6割が産業部門で、臨海部の割合が高い。

このため、同協議会は茨城、鹿島両港を対象としたワーキンググループを設置。目標達成に必要な両港の水素、燃料アンモニア供給量は30年までに計125万トン、50年までに計275万トンと試算した。

県地域振興課は「新エネルギー燃料を臨港部などでどう貯蔵し、周辺地域へ供給していくのか、企業の具体的な取り組みを支え、少しでも目標に近づけていきたい」と説明している。

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