茨城県内飲食店 忘新年会 客入り期待 5類追い風、回復基調

忘新年会シーズンを迎え、鍋料理を紹介する飲食店従業員=水戸市桜川

師走に入り、茨城県内の飲食店が忘新年会の客入り増加に期待を寄せている。新型コロナウイルスの「5類」移行が追い風となり、昨年比で売り上げ3割増を見込む店舗も。予約が土日や早い時間帯に偏るなどコロナ禍に伴う変化はあるものの、飲食店は「少しずつ戻っている」と手応えを感じている。

飲食店「忍家」などを展開するホリイフードサービス(水戸市、藤田明久社長)では、グループ全体の忘年会予約が今月初旬ごろにも昨シーズンの予約数に達す見通し。予約電話が連日入っている状況で、客入りは昨年比3割増ほどを見込む。忘年会以外でも大型観光企画「茨城デスティネーションキャンペーン(DC)」やインバウンド(訪日客)の影響で、売り上げは回復基調という。

「忍家」水戸駅南本店の皆川厚店長は「今年は行政や企業から大人数での予約を多くいただいている」とし、「お客さんが少しずつ戻ってきてくれてうれしい」と笑顔。メニューには、めんたいこや和牛もつを使った鍋料理を用意するなど大人数の利用に備える。

東京商工リサーチ水戸支店が11月にまとめた県内企業の「忘・新年会に関するアンケート」調査によると、茨城県の実施予定率は43.5%と昨年の34.1%から大きく伸びた。同支店は「新型コロナの5類移行で忘・新年会は復調」と分析する一方、コロナ禍による行動様式の変化や価値観の多様化で「忘・新年会離れも起きている」とも指摘した。

飲食店「梅み月」などを展開するステノグループ(同市)は、忘年会の売り上げを昨年比約2~3割増と見込む。一方、新年会については先行きが不透明な部分があるとしており、「忘年会だけで新年会はやらないという声もある」としている。

複数の飲食店によると、今シーズンは予約が土日に集中したり、2次会などで深夜に及んだりすることを避ける傾向があるという。

同社の本田真人社長は「平日の来客増や客単価を上げるなどの課題があり企業にとって難しい状況」とし、「人々の考え方に合わせた運営がより重要になっている」と話した。

© 株式会社茨城新聞社