【先週読まれた人気記事】アニメ『葬送のフリーレン』「今は天国にいるよ」 ハイターの想いを汲んだフリーレンの言葉に、視聴者「まるで上質なハリウッド映画」

アニメ『葬送のフリーレン』第11話「北側諸国の冬」。大魔族アウラの軍勢を倒し、再び「魂の眠る地(オレオール)」を目指して旅立ったフリーレンたちは、 “女神様”を信じる一人のエルフと出会う。「天国」の話をうれしそうに語るその姿に、フリーレンはかつての仲間・ハイターの姿を重ねていた……。2人のエルフが交わす優しい言葉の数々に、視聴者からは感動と称賛の声が寄せられた。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆戦いの終わり、旅の始まり

500年生きた大魔族アウラとの死闘に決着がついた。フリーレンは一人、静まり返った戦場を歩く。そこかしこには不死の軍勢としてアウラに操られていた鎧たち。元々は国を守るために戦った彼ら英傑たちもまた、静かな眠りについていた。フリーレンはその場に片膝をつくと、握るように両手を合わせ目をつむった。

祈りを捧げるその背中にフェルンが声をかける。隣には傷だらけのシュタルク。アウラ配下の魔族たちに辛くも勝利した2人を見て、フリーレンは「偉いぞ」と笑顔。師匠からの“お褒めの言葉”にフェルンも、そしてシュタルクもホッとした様子で微笑む。穏やかな3人の様子を、少し離れたところから領主・グラナト伯爵が見ていた。「フリーレン。わしは今日ほど誰かに感謝したことはない」。つぶやきながら触れた、一つの鎧。その胸元には、“グラナト家の紋章”が光っていた。

……その後、“街の英雄”として人々から祝福を受けたフリーレンたちは、再び「魂の眠る地(オレオール)」を目指す。しかし道中となる“北部高原”は情勢の悪化から人の往来が制限されており、通るためには大陸魔法協会が認定する“一級魔法使い”の同行が必要だという。フリーレンはアウラを倒せるほどの実力者であるが、“面倒くさがり”の彼女はその資格を有していなかった。3人は“一級魔法使い”の認定試験を受けるべく、まずは北側諸国最大の魔法都市「オイサースト」へ向かうのだった。

“英雄”と評された3人は、しばし街の人々と平和な時を共にした
キャプション:吹雪の中を進む一行 フェルン「重い…」

◆女神様のお導き

北側諸国デッケ地方。グラナト領を出たフリーレンたちは猛烈な吹雪の中を進んでいた。フェルンは小刻みに震え、シュタルクはもはや気を失っていた。危険な状態だったが、かつて魔王討伐を目指す勇者一行の旅で同じ道のりを経験していたフリーレンは、その記憶を頼りにやがて小さな山小屋へと辿り着く。……そこには見知らぬ先客の姿があった。旅の途中で火種を失ったというその武道僧(モンク)の男は、見覚えのある長い耳をしていた。男の名はクラフト。彼はフリーレンと同じ長寿の種族・エルフだった。

パチパチと弾ける暖炉の火。フリーレンの冷え切っていた頬が徐々に赤らんでいく。クラフト曰く、同族と会うのは約300年ぶり。「エルフはもう絶滅したのかと思った」と、2人は口を揃えた。クラフトは続けて、魔法で火をつけてくれたフェルンにお礼を言うと「魔法使いと会えたのは幸運だった。女神様の導きだな」と、胸元の首飾りをそっと握る。信仰心に厚いクラフトは、気を失ったままのシュタルクを人肌で温めてくれた。

翌朝、目を覚ましたシュタルクはクラフトを見て驚く。「あんた、とんでもなく強いだろ」。その肉体は、戦士の身から見てもかなり鍛え上げられていた。さぞかし名のある武道僧(モンク)のはずだが、しかし「クラフト」という名前に心当たりはない。不思議がるシュタルクを見て、クラフトは含みのある笑みをうかべる。

雪で身動きの取れない4人は、“北側諸国の冬”が過ぎ去るのを共に待つことにした。本を読み、体を鍛え、時には“女神様”の話をしながら……。食卓を囲むとき、クラフトはいつも手を合わせ祈りを捧げる。そんな風習に、いつしか他の3人も自然とならっていくのだった。

武道僧(モンク)のクラフト 信仰心に厚く、特徴的な首飾りをしている

◆長寿の種族・エルフの天命

気づけば、半年の月日が経っていた。眠りから目覚めた動物たちが、クラフトとの別れが近づいていることを知らせる。そんな折、クラフトは「フェルンに渡してやってくれ」と手製の首飾りをフリーレンに預ける。自身が身につけているものと同じ、羽の意匠を施したものだ。この半年でフェルンの生い立ちを聞いていたクラフトは「僧侶に育てられた影響だろうな、女神様への感謝を忘れていない」と、うれしそうに話す。

ふと、フリーレンは気になって尋ねた。「どうして女神様を信じているの?」。クラフトは答える。「いてくれなきゃ困るんだ」。天地創造の女神様は神話の時代を除いて、この世界の長い歴史の中で実際に姿を現したことは一度もない。そんな中でクラフトは「俺の成してきた偉業も正義も、知っているやつはみな死に絶えた。自分の生きてきた軌跡が誰にも覚えられちゃいないってのは、あまりにも酷だ」と、長い人生を歩むエルフの天命を憂いていた。

ゆえにクラフトは、いつか天国の女神様に「お前の人生は素晴らしいものだった」、そう褒めてもらうんだと笑う。そして、だからこそフリーレンに優しく語りかけた。「お前の身の上を話せ。俺も話す。お前が信じないって言うなら、女神様の代わりに俺がお前を褒めてやる」。同じ長い時を生きるエルフからの提案にフリーレンが答えようとしたその時、彼女の脳裏にかつての仲間・僧侶ハイターの声が響いた。『フリーレン。あなたには褒めてくれる人はいますか?』

お酒が大好きなハイター(右から2番目)を、フリーレンはいつも「生臭坊主」とからかっていた

◆信じた仲間が信じる世界

ーーいつだったか木陰で2人、遠くに見えるヒンメルたちに手を振りかえしては他愛もない会話をしていた時のこと。片ひじをつくフリーレンに、ふいにハイターが尋ねたのだ。「あなたには褒めてくれる人はいますか?」と。そして女神様を信じていない彼女に「身の上を話していただければ代わりに私が褒めますよ」と続けたのだ。

「褒められるようなことなんて何もない」。自らの人生をダラダラ過ごしてきただけだと振り返るフリーレンに、ハイターは真剣な顔を見せ「常に魔力を制限しているのに?」と聞き返す。フリーレンは面を食らった。それは生涯やり抜くと決めた、1000年前の師匠の教え。魔族を欺くため常に魔力量を制限していたことに、ハイターは気づいていたのだ。そして不思議なことに、ハイターはフリーレンの“身の上話”を聞くことが「後学のためにもなる」と続ける。理由を聞かれたハイターは、無邪気に笑ってこう答えた。「もしかしたら、私の子どもは魔法使いになるかもしれませんよ?」ーー

思えば、フリーレンがハイターの弟子であるフェルンに出会った頃、彼女は幼いながらもすでに卓越した魔力の操作技術を持っていた。それはフリーレンの“魔力探知”にほとんど引っかからないほどの……。先ほどのクラフトの提案に「遠慮しておくよ。もう別のやつに褒めてもらったから」と微笑むフリーレンに、「いい友人を持ったな。大事にしろ」と、優しく諭す声が返ってくる。「いや、その人はもう」と視線を落とす彼女の目に止まったのは、クラフトから預かった手製の首飾り。ふと空を見上げ、「今は天国にいるよ」とつぶやいた。フリーレンが「魂の眠る地(オレオール)」を目指していることを聞いていたクラフトは、「なら、いずれ会えるな」と、彼女の思いに寄り添うのだった。

生涯を通して魔力を制限する それは師・フランメの教え

◆登場人物たちの“想い”が巡る物語に、視聴者「まるでハリウッド映画」

今回の放送で特に反響が大きかったのが、すでにこの世にはいないハイターを「大事にしろ」と言われたフリーレンが「今は天国にいるよ」と答えたシーン。女神様を信じていないはずのフリーレンが、ハイターの生前の思いを汲んだからこそ出たその言葉に、SNS上では「涙が出てきました」「上質なハリウッド映画を観てるよう」「心揺さぶられる」などと感動の声があがった。

また、今話の冒頭で描かれた何気ない1シーンが注目を浴びている。アウラとの決戦を終えたフリーレンは、リュグナーたちを倒したフェルンとシュタルクに「偉いぞ」と声をかけていた。その“お褒めの言葉”は、過去にハイターから褒めてもらったフリーレンだからこそ出たものではないかと、視聴者は考察。改めて『葬送のフリーレン』という物語の構成力に感心する声が飛んだ。

クラフトに別れを告げてフリーレンたちは、次なる場所へと向かう。『葬送のフリーレン』第12話「本物の勇者」は、11月24日(金)よる11時「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国30局ネット)にて放送予定。

画像提供:©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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