秋サケ、全国で記録的不漁 北海道3割、東北8~9割減

札幌市の鮮魚店で売られる北海道産の秋サケ=1日

 秋の味覚サケが全国で記録的な不漁に陥っている。漁獲量の大半を占める北海道では前年比3割、東北は8~9割の減となった。東北ではサケを使った郷土料理の価格が高騰し、ふ化放流用の卵を自前で確保できない県もある。背景には海水温上昇があるとみられる。

 「手の施しようがない」。宮城県漁協の志津川支所(南三陸町)の高橋義明課長は苦しい胸の内を明かす。9月末の漁開始から同町で揚がったのは11月22日現在で、たった912匹。前年に比べ約9割減の約2トンだ。

 宮城県によると、11月10日現在、秋サケの沿岸での漁獲量は3232匹で前年比約9割減。

 青森県は約1万9千匹、岩手県も約1万2千匹でそれぞれ前年比の約8割減だ。

 一大産地北海道でも深刻な不漁に苦しむ。道庁が公表した11月20日現在の漁獲速報も、前年同期比約3割減の約1919万5千匹だ。

 水産研究・教育機構の本田聡部長は、海洋の温暖化によって海流や餌の環境が変わり、稚魚が海に出た後に目指すオホーツク海まで到達しにくくなった可能性を指摘する。

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