「岡山初心者の会」気軽に話そう 県外出身者の集まり、記者も参加

岡山初心者の会で、グルメや困り事などについて話す参加者=10月24日

 岡山県が地元ではない人たちを対象にした「岡山初心者の会」が岡山市内で開催されていると聞いた。いったいどんな会? どんな人が参加しているんだろう? 熊本県出身で就職を機に引っ越してきた“初心者歴”5年目の記者が参加してみた。

 岡山市北区奉還町のカフェ。テーブルを囲んで、出身地や現在の住まい、初心者歴を話すところから会はスタートする。東京、高知、長崎など出身の5人と運営メンバー2人がこの日の参加者だった。

 それぞれ引っ越して1カ月から5年程度とさまざま。まず話題になったのは銀行口座の開設。10月に引っ越してきたばかりという女性は、どの地銀を選べばいいのか迷っていた。たしかに、初めて訪れた土地では知らない銀行も多く、イメージが湧かないだろう。

 関心が高そうだったのがグルメ情報。参加者の中では岡山歴の長い記者の得意分野かも、と思い、お気に入りの中華料理店の天津飯、老舗豆腐料理店の定食を紹介した。参加者からは、こうじ料理が魅力のお店や、漬物やご飯が食べ放題の穴場を教えてもらえた。

 「バスがどこを経由していくのか分かりにくい」「西大寺町と東区西大寺があって混乱した」「車のウインカーをギリギリまで出さないのは何で?」といった困り事も。免許取りたてで入社した当初、交通マナーの悪さに怖い思いをしたことを思い出し「うんうん」と納得した。

 1時間半ほど話し、次回の案内をして終了した。夫の仕事の都合で3年前に引っ越してきたという女性(32)=岡山市中区=は3回目の参加。知り合いのいない土地で心細かった時、インターネットで会の存在を知ったという。「今では運営メンバーの顔を見るとなんだかほっとする。参加するごとにたくさん話せるようになった」と笑顔だった。

 初心者の会は、県外出身者でつくるグループ「cococara okayama(ココカラ オカヤマ)」が異動・引っ越しのシーズンに合わせて年3回程度実施。県内出身者も参加できる。次回は来年1月末の予定。詳細はインスタグラム(cococara.okayama)。

「細く長く活動を」

 初心者の会を開いている「cococara okayama」代表の楳溪(うめたに)奈美さん(54)=岡山市=に開催に至る経緯や思いを聞いた。

 私自身も2018年6月に横浜から岡山に引っ越してきた。知り合いはおらず、話し相手は夫以外にいない日々。どうやったら新しい出会いがあるんだろうと考えていた時、ふと同じ境遇の人は他にもいるんじゃないかなと思い、会を開いてみることにした。

 1回目を19年2月に開催すると「こういう会があって良かった」「続けてほしい」との声が寄せられ、今回で21回目になる。毎回特にテーマは決めず、集まったメンバー次第で生活への疑問やお薦めスポットなどを話している。グループでは初心者の会以外にも、お出かけや料理教室、写真撮影といった切り口でイベントを開いていて、つながりが広げられるようになっている。

 年数がたてば友達ができたり、出かける場所が増えたりして初心者ではなくなっていく。でも、転勤や結婚などいろんな理由で引っ越してくる人は絶えない。そんな人たちがいつでも気軽に立ち寄れる場所として、細く長く活動を続けていきたい。

発起人の楳溪さん

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