北朝鮮の「女子大生200人」がハマった禁断の行為

北朝鮮当局が「退廃的で変態的な行為」の取締りを続けている。

北朝鮮の社会安全省などは今年の夏、「奉仕機関(レストラン、公衆浴場など)で退廃的で変態的な行為が続いている」として、厳重に取り締まるよう各地方の行政機関に指示文を出した。その後、新型コロナウイルス対策の国境封鎖が段階的に解かれていることなどもあり、社会の締め付けが緩むにしたがって、当局の監視の中でもこうした現象が続いているのかもしれない。

この動きを伝えた米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は現地消息筋の話として、「奉仕網において退廃的な行為で金儲けをする問題は、きのう今日の問題ではない」としたうえで、「2016年9月にも社会的に異色的で変態的な現象を根絶するための最高指導者の指示が出され、昨年も何度も関連指示が出されたが、いまだになくなっておらず、持続的に現れている」と説明している。

ところで、「退廃的で変態的な行為」とは具体的にどのようなものか。RFAによれば、主としてレストランや公衆浴場に設けられた個室での性売買や賭博を指しているらしい。

さらに問題なのは、こうした「商売」に動員される女性たちの低年齢化だ。

2020年7月には平壌で、200人もの女子大生が動員されていた組織売春クラブが摘発され大問題になった。さらに最近では咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)で30人以上の女性が摘発されていたが、その中には高校生と思しき10代の少女まで含まれていたという。

こうした厳しい取り締まりにもかかわらず、こうした違法行為がなくならないのは、ひとつには「職業難」があると思われる。発足当初、市場に対する放任主義をとっていた金正恩政権だが、しだいに国家による経済の主導権奪還に傾き、様々な商売への締め付けを強めるようになった。そのため、「儲かる商売」が減っているのだ。

さらにそれと並行し、副業で稼げなくなった公務員らが、自分の権限をより露骨に振りかざしてカネを集めるようになった。中でも、大学教授らの学生に対するワイロの要求はひどいとされる。

多くの国において、大卒資格は社会的・経済的な成功を収めるための重要なステップだが、凄まじい階級社会である北朝鮮では、下層の人々が立身出世を目指したり、あるいは理不尽な環境から抜け出したりするための絶対的な条件だ。

そのため、名門に進学した学生ほど教授に足元を見られ、金策に苦しんだあげく、「退廃的行為」の罠にはまり込むのである。

© デイリーNKジャパン