岡山の戦後洋楽史 後世に伝えたい 愛好家出版準備 費用をCFで募る

出版に向け、ジャズ喫茶JORDANで打ち合わせする(左から)古川さん、平井さん、山本さん

 戦後~1960年代の岡山市の洋楽史を記録に残そうと、市内の愛好家が「岡山ジャズ物語(仮題)」の出版準備を進めている。地方の音楽シーンをまとめた著作は全国でも珍しいといい、来春の発刊に向け、費用をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 ジャズ喫茶JORDAN(ジョーダン)(同市北区表町)の前オーナー古川三郎さん(75)が、当時バンドで活躍し、75年から倉敷市でジャズ喫茶「ロストシティ」を営んでいた白神雅光さん(91)=同市=から「体験を後世に伝えたい」と相談を受け、現オーナーの渡辺淳一さん(75)らと企画した。

 70年代以降の岡山のジャズシーンを回想した著作がある平井康嗣さん(69)が、白神さんへ十数回取材した内容を小説化。架空の主人公が焼け野原の岡山で白神さんと出会い、ダンスホールやキャバレーでジャズを中心とした洋楽に熱中する様子を通じ、当時の状況を紹介する。

 古川さんは小説を補完する史実や世相、戦前ジャズ史を研究する山本俊さん(64)は日本初のジャズ・サックス奏者で服部良一、笠置シヅ子ら著名人と交友があった倉敷市出身の前野港造(1897~1977年)について執筆している。

 A5変形判、約200ページ、1冊1760円程度で千部発行予定。古川さんは「岡山の音楽史の空白を貴重な証言で埋める著作になる。多くの人に知ってもらえるよう協力してほしい」と呼びかける。

 目標額は70万円。CFは山陽新聞社や中国銀行が運営する「晴れ!フレ!岡山」のサービスで1月18日まで募る。返礼品は2千円ごとに書籍1冊を贈る。

 詳細や支援は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/132202)。

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