師走の金沢城下町、冬の装い

手際よく薦を取り付ける職人=長町武家屋敷跡

  ●長町武家屋敷跡 土塀に薦掛け 外国人もパチリ

 長町武家屋敷跡で2日、土塀を雪から保護する「薦(こも)掛け」作業が始まった。

 稲わらで作られた薦は、土に染み込んだ水分の凍結や雪の付着によって土塀が傷むのを防ぐ。2日は、幅約3.6メートル、高さ95センチの薦を金沢職人大学校の研修生ら約30人が土塀の腕木に縄で結んでつるし、外国人観光客らがカメラで撮影するなどして見守った。

 薦掛けは3日も行われ、大野庄用水沿いの土塀など延長約1.1キロに取り付ける。3日は親子を対象に薦を使った体験講座も開く。薦は来年3月中旬に取り外す。

  ●尾﨑神社社殿 紅殻塗の雪囲い 文化財を次の世代へ

 尾﨑神社で2日、国重要文化財の朱塗りの社殿を風雪から守る赤色の雪囲いが取り付けられ、冬支度が整った。

 本殿、拝殿、幣殿に、縦約1.8メートル、横約1.5メートルの紅殻(べんがら)塗の板78枚が設置された。雪囲いは1931(昭和6)年ごろから毎年12月上旬に設けられており、永井隆宮司(74)は「文化財を次の世代に渡していくための重要な事業だ。いよいよ年越しが近づいてきたと感じる」と作業を見守った。

 雪囲いは来年3月上旬まで設置され、積雪や雨風で社殿に塗られた漆が剝がれたり、劣化したりするのを防ぐ。

紅殻塗の板の雪囲いが取り付けられた拝殿=尾﨑神社

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