かつて集落で火災、復興のため売却「巨石くりぬいた湯壺」故郷に戻り感謝のつどい

湯壺を中心に整備が進む公園で丹波踊りを楽しむ市民ら(京都府亀岡市東別院町湯谷)

 京都府亀岡市東別院町湯谷の地域おこしに取り組む地元区民と市民有志が、かつて集落の復興を助けた「湯壺」に感謝するつどいを開いた。湯壺を中心に整備を進める公園で音楽が奏でられ、旬の食材が振る舞われた。散策道を整えた湯谷ケ岳に登る催しもあり、来場者は秋深まる山里の景色や味覚を楽しんだ。

 巨石をくりぬいた湯壺は明治時代、集落の半数が焼けた火災後に売られ、復興費が捻出されたという。最近になって地元に戻してもらえることになり、住民らが2022年4月に売却先から運び帰った。

 つどいは11月26日にあり、別院保育所園児の太鼓や南丹市の大城敦博さんによる「琉球ヴァイオリン」の演奏があった。丹波踊りも披露され、訪れた市民らが一緒に輪に入った。地元で収穫された新米のおにぎりや野菜たっぷりの豚汁も提供された。

 約20人が参加した登山では、薬師信仰にちなんだ名前を付けた巨岩を案内しながら頂上に登った。麓に住む女性(85)=東別院町南掛=は「何年も前に登った時は草が生い茂って登りにくかったが、きれいになっていた。頂上は周囲が見渡せて気持ちよかった」と話した。

 地域おこしは、小野小町が湯治で訪れたという同地区の伝承から「小町プロジェクト」と名付けて取り組んでいる。

© 株式会社京都新聞社