住民Gが復活させた「波賀森林鉄道」に8人乗り客車 「ガタン、ゴトン」拍手喝采 宍粟市、来秋オープンへ

観光用列車「波賀森林鉄道」の客車として活用される車両(前から2両目)=フォレストステーション波賀

 兵庫県宍粟市波賀町の住民グループが観光用列車として復活させた「波賀森林鉄道(林鉄)」に8人乗りの客車がやって来た。競売にかけられていたレール点検用の車両を市が落札し、グループに提供した。11月下旬にはフォレストステーション波賀(同市波賀町上野)にある周回コースで試乗会が開かれ、乗車した子どもたちが「ガタン、ゴトン」とレールから伝わる振動を楽しんだ。(村上晃宏)

 同市波賀町内を走行した林鉄は、木材輸送用として1916年から整備され、良質なスギやヒノキを阪神間に届けた。昭和30年代の最盛期には総延長が40キロ以上に及んだが、次第にトラック輸送に代わり、68年に廃線となった。

 住民グループ「波賀元気づくりネットワーク協議会」は、地域活性化の一環で2016年から林鉄の復活に取り組む。市の協力で、国土交通省立山砂防事務所(富山県)からディーゼル機関車を取得し、今年8月下旬にはフォレストステーション波賀の空き地に線路を敷き、108メートルの周回コースを整備した。その後、子どもらを招いた試乗会を開催し、林業の歴史を伝える活動を続けている。

 客車は再び同事務所から取得した。レールの点検に使っていたモーターカーで、全長3メートル、重さ1.8トン。これまでは台車を改装した7人乗りの客車を活用してきたが、より多くの乗客に楽しんでもらいたいと市に取得を依頼し、約5万円で落札された。

 試乗会では、「出発進行」のかけ声や高らかな汽笛が響く中、機関車にけん引された客車がゆったりと動き始めた。乗客は観衆に手を振り、1周回ると大きな拍手が起きた。

 同協議会では山の中を通る線路を整備し、総延長675メートルのコースを来年10月にオープンする予定。松本貞人会長(63)は「モーターカーはどっしりとして乗り心地もいい。機関車と同じ緑色で林鉄にぴったりだ」と話していた。

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